レビュー一覧

後書きで、シンデレラストーリー水原バージョンとあり、「あぁ…そういう…」と深く納得してしまいました。極道BLは数あれど、こちらは攻め受けが従兄弟同士ということで、ヤクザの身内のよって立つところはどこか？といった抱えるのが中々キビシイ問いかけが目立ちました。血縁は絶対ではないけれど、本気で断ち切るのは難しいモノですからね…。ストーリーとしては無茶苦茶な攻めと、その親友の破戒僧のタッグにボロッボロに翻弄される受けの、最後は絆され愛…なのかしら。シンデレラは意外と腹黒い女ですが、こちらの受けは真っ当に頑張ったと思います。結末は、まぁこれもハピエンでしょう。BLはお伽話だからね！

この先生の歪な執着攻め、好きです(笑)　連れの僧侶も悟っているんだか開き直っているんだか、此方の方が歪具合が際どくて、より危ない気がしました。強いられた望まぬ環境でも、自分を見失わず生きる希望を見出だす受けに好感が持てました。

作者買いいびつな三角関係？に近く見える感じがする不思議な作品でした。この作者さんのいつもの通り読み手は選ぶと思います

ちょこちょこ主人公の気持ちと行動が理解できないところがありまして(父親に会ったら父親を殺すって言われてるのにこっそり会いに行こうとしたり、自分の父親をひどい目に遭わせた伯父が入院してるときに心配して見舞いに行ったりとか)。あと受けが攻めのことを好きになったポイントにしっくりこなかった。全体的には面白かったんですけどね…

受けの元耶は母親の死によって母の実家に(極道)拉致され父親の命と引き換えに従兄弟である組長の息子に飼われて性的な暴行を受けまくります。地獄の中で憎しみ、痛み、悲しみ、恋情、愛情など登場人物の心理が上手に表現されていて良かったです。愛、と一言で言っても人それぞれ色々な形があるんだなぁ、と思いました。攻めの受けに対する執着も良かったです。ただやっぱり極道だから攻めが受けを殴る蹴るなどの痛々しい場面があるので、苦手な方は気をつけて下さい。

なんでここまで執着されるのかわからないが悲劇です。

母親が駆け落ちしたせいでここまでされるかなんか不条理。

主人公が少し可哀想な目に遭うとこから始まるので、そういうのが苦手な人はあんまりかなと思いますが、私は好きでした。

ヤクザ物語は、初めてなのですがBLの恋愛物語的要素は余りなく、受の元耶君が可哀想なくらい虐げられる部分があり涙が出ましたけど、最後は穏やかになったのでよかったですね。

何と言うか、主人公が攻めの親友ポジションで、受けが女性がったら任侠映画の王道のような気がしました。まあハッピー（多分）エンドで、いびつな三角…。ストックホルムシンドローム的と言えなくもなく。極道系にしてはそうそうひどく痛いこともない方です。シンデレラには見えませんでしたが。