レビュー一覧

「少女に与えられたのは、大きな銃と小さな幸せ。」少女たちの特殊な事情に涙しつつ、本人たちはそんなことは全く気にせずテロリストたちと戦う姿に何とも言えない感情が押し寄せます。少女たちの兄役である大人たちは、少女たちに罪悪感を持ちながらも任務遂行をし苦悩します。一期生たちの可哀想な健気さの物語、条件付けのゆるい少し大人の2期生たちの物語、そして最終的にそうならざることを運命付けられた終盤の物語、悲しみの中のほんの少しの希望のためのエピローグ。正義と悪と復讐と許しと喜びと悲しみと。全てが間違っていて、全てが正しい作品です。

相田裕氏の同人誌作品で人気が出て、商業誌連載に成った作品。「Apple seed」、「攻殻機動隊」等でサイボーグネタが人気を博していた時代に描かれた作品だが、既にＳＦは人気を失っており、“現代”にサイバーを持ち込むことでＳＦアレルギーに対処した作品でのうちの一つ。また、世の中、非対称戦闘が着目されており、その手の題材を取り上げた作品も多かった頃の物。ロケーションはイタリア。先進国で在りながら、内省に古来からの政治的問題を抱え、テロや犯罪が頻発する状態で、実際のイタリアでもその様な時代があり、それに対処するために、ベレッタM93Rとか、スペクターSMG等が開発されたという経緯がある。また、「ゴットファーザー」で代表されるマフィアの存在もあり、戦後西側西欧に置いては、イタリアは最も剣呑な治安状態であった国家でもある。そんなイタリアを舞台に、問題を抱えた少女を引き取って、義体化して、大人とペアを組み対テロ作戦に投入するという、“病んだ”ネタの話。作中に置いても其れを示すかのような医師の台詞が出てきたりする。また、見方を変えると、気持ちの持ち様、考え方一つで、不幸の泥沼に頭の先まで浸かっていても、人は幸福感を得られるという話でもある。アンハッピーエンドしか待ち受けていないその話は、「レオン」や「ニキータ」に通じるものがあり、その様な作品が好みの方にはお薦め。

ストーリーが大きく動き出すのは少し経ってから。最初の数冊は各々の(少女と担当官の)エピソードが淡々と書かれている。全巻読み終える頃にはスケールの大きさに言葉が出なくなる。最初地味に感じたそれぞれのエピソードも凄く生きてくる。とてもよく練られた話なので、最初の数巻で辞めてしまうのは非常にもったいない。ぜひ、最後まで読んでみてほしい。

芸術や技術はこれまであったものに影響を受け、積み上げる形で進歩していく。漫画作品もそうだ。しかし、時折、不連続にクォリティが上がるときがある。漫画では「名作」と呼ばれるものだ。発行部数などでは説明できない。この作品は間違いなくそういう「名作」だ。

物語の終盤、主要人物たちが最期を迎えるとき、泣きました。彼らが紡いできた信頼、友情、前世の記憶、愛情に似た依存、条件付けによる執着…全てが戦いによって無に帰す瞬間、短かった人生は報われることなくただ消費されただけだとしても、彼らは笑顔で逝った…物語の締めの部分にはあまり納得できませんでしたが、義体と担当官の心の交流、残酷な世界の中でも小さく輝く美しい日常を描く温かさは一読の価値ありです。CDの「poca felicita」を聴いてから読み返すと更に胸が締め付けられます。

名作です。ガンアクションや命懸けの使命が好きな方には文句なくおすすめします。最初の方は絵が堅いですが、だんだん上手になります。最終回は個人的に言えばしっくりきませんでした。(おもしろくなかったということではないです)それでも彼女達の戦いが報われるためには必要な最終回だったと思います。ぜひ読むべき作品です。

絵柄は稚拙さの残る少年漫画だが、ストーリー内容は重たくて哀しい。サイボーグ化した少女たちを使う政府機関、疑似恋愛感情を使うその職員。対するテロリスト。何が正義なのか 正義とは何かを考えさせられる作品である。

１０回以上読んでいると思います。戦闘シーンがカッコよくて、話にリアリティがありとても良くできたお話だと思います。イタリアに行ったことはないのですが、イタリアの名所が出てきて旅行気分が味わえます。戦闘の舞台なので破壊されてしまったりもしますが。何より義体とその周りの人々の話が、切なくもあり愛おしくもあります。

登場人物が多いので、名前を覚えるのが最初は大変ですが、中盤になると物語が加速して面白いです。それぞれの過去が明らかになっていくと号泣しました。話自体は重く難しいです。

紙書籍で持っています。南北問題を抱えた情勢不安なイタリアを舞台で、強靭な肉体と引き換えに銃を手に取り戦うことになった少女たちの物語です。切なくて悲しい話です。最終巻を読み終わった後しばらく呆然としました。