彼は金のため、彼女はベッドでの経験のため、互いを利用するつもりだった。■「だけど、なぜ私なの？」長年の友人ルークに結婚を申し込まれたマギーは、驚いてそうきいた。ルークが自分を愛していないことは知っていたし、彼の父親が結婚を遺産相続の条件と遺言したことも知っていたので、これが便宜上の結婚の申し込みだろうということは、彼女にもわかった。でも、堕天使のように罪深いほど魅力的な容姿の彼となら、便宜上であっても結婚したがる女性はたくさんいるはずだ。気弱で色気もない私なんかより美しい女性が。しかし彼はこう答えた――君は僕に期待しても無駄だと知っているし、僕は、僕を愛していると思いこんでいる女性と結婚するのは嫌だから、と。マギーは彼との心地よい友人関係を危険にさらしたくはなかった。けれど、彼女自身、どうしても解決したい悩みがあり、それには彼と結婚するのが一番の方法に思えた……。

■愛は狂気と紙一重。だから結婚に愛なんていらない。

■ジェイコブ・ウエストはひどく憂鬱な気分だった。家政婦が難病にかかり、治療に莫大な費用が必要だと判明した。なんとしてでも彼女を助けたいが、頼みの信託財産は父親の遺言のせいで、結婚しなければ手に入らない。こうなったら、すぐにでも相手を探さなければ。誰でもいい。結婚など誰としても危険を伴うものなのだから。そうだ、今日から来る新しいアシスタントはどうだろう？　これが、金融界の“アイスマン”……。クレア・マグワイアは新しい雇い主の存在感に圧倒された。冷たい氷のような、それでいてセクシーな瞳に思わず目を奪われる。いいえ、だめよ。私は誰かに恋をするために来たのではない。ここに来たのは、住み込みで仕事をするため……そして、この防犯設備の整った家に、私の身を守ってもらうためなのだ。

■財産の相続のために、するつもりのなかった結婚を余儀なくされたウエスト三兄弟。第一話は、長男ジェイコブと、その身に迫った危険から、誰かを愛することを恐れる女性クレアの物語です。

「今度の任務から戻ったら、適当な相手と結婚するよ」
難病を患った家政婦エイダの治療費を得るために、結婚を決意したウエスト三兄弟。軍の特殊部隊に勤める三男マイケルは、メキシコでゲリラの捕虜となった女性牧師アリッサの救出に向かう……。一方、アリッサにとって彼は生き方も考え方も違う別世界の人。密林をさまよう逃避行の中で、二人の間に生まれたのは！？
（c）HIROMI KOBAYASHI／ELLEEN WILKS

「兄さんはマギーと結婚しないんだろう。だったら僕が結婚する！」
難病を患った家政婦エイダの治療費を得るために、結婚を決意したウエスト家の三兄弟。次男ルークは幼なじみのマギーに結婚を申し込む！一方、マギーにとってルークは憧れの人。でも、プレイボーイの彼が振り向いてくれるなんて、夢にも思わなかった。 友情を前提に結婚生活を始めた二人は！？
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「僕たちは結婚しなければならない」
ウエスト家の三兄弟は、難病を患った家政婦エイダを救うために望まぬ結婚を決意した……。一方、三兄弟の長男ジェイコブの住み込みアシスタントとなったクレア。 気難しさと複雑な魅力を併せ持った彼の不可解な態度に戸惑いながらも、次第に心惹かれていく……。でもクレアは「決して恋はしない」と心に決めていて！？
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