レビュー一覧

切なく静かな、最後には心がじんわり暖かくなる…とても綺麗なストーリーでした。少し硬めのしっかりした文体、丁寧な心理描写、ゆっくりと動く情景。密度のある小説で切ないビターなシリアスを読みたい方におすすめです。こういう系統の話が好きなので大当たりでした。性的なシーンは少なめであっさり目ですが登場人物の情熱的な動きや心の葛藤を表す描写が長けてるのですごく萌えました。直接的なエロはほとんど無いのでそういうのを求めると物足りないかもしれません。

あぁ、また二人共圧倒的に言葉が足りない…誤解、思い込み、すれ違いの静かな嵐のなかお話はすすみます。受けクンが不憫。誤解とけて愛情確認したんだから、攻め君には存分に溺愛してもらわなきゃね。

常盤の樹への想いから「可愛さ余って憎さーー」ぽい気持ちも分かる、話してくれないと何も始まらない相手からの放棄は辛いよね。なのでその後の常盤視点編は良かったです。

導入部は面白くて、どうして、どうして、こんなに長い事主人公は檻に入ったままなの？とワクワクしてたら、理由がちょっと帳尻合わせ過ぎ？と感じてしまい最後が締まらない終わり方のように感じました。

元々　冬とか雪とかが好きなので、雪と怪我のせいで閉じ込められるみたいなシチュエーションがステキでした。近づきつつあったのにやむにやまれぬ事情で離れて、誤解もあって…ちょっとつらいとこもありますがちゃんとハッピーエンドなので安心して読んでください。二人の恋愛に関係する場面とはちょっと違いますが、後日談の『ひとりだなぁと、思ったんです』の言葉が、樹さんの人間味がすごく出てて好きです。

長い間の誤解で素直に愛情を示せない攻めと何も言わずに受け止める受けは読んでいて切なくなります。