レビュー一覧

途中ちょっと女性が出たりする以外は完全なる二人芝居の世界で、セリフとモノローグで勝負という感じなのですが、これが巧みで引きこまれた。受けに関しては、「普通」にこだわりすぎるあまりいろんなものが見えなくなってて、旅行途中にサイテーなこともしてしまう。でもそういうズルい気持ちや、保険かけないと怖いって部分は非常にリアルで、読者に分かるように持っていけてるのがすごい。受けのウジウジした気持ちと対照的に、攻めがよくわからない低体温で、それも面白かった。ラストの駅での告白シーンがクライマックスなんだけど、表紙にもなってるこの顔。が、非常に惜しかったです私的に。ああ・・もっと絵が・・・とやはり思ってしまいました。作者さまのラフな絵は、慣れると普通だし、話によってはその雑味がいい味に作用してると思うので、一概に「下手」とは思わないんですが、やっぱりこういう「センシティブ美形」設定のドアップで、ここはキメるシーン！という盛り上がりの部分でこの横顔か・・・と、世界観にせっかく浸ってたのに脱力してしまう瞬間が惜しかった。ごめんなさい（表紙の眉毛の感じとか表情を見て「別に、アリ」と思う方は、全然大丈夫だと思います）。低めテンションの攻めが、「ムカつくっ・・・」と言うシーンに一番グっときました。

ちょっとした映画みたいにリアリティのある内容でした。はた目からは普通として生きていきたい受けが拗らせに拗らせています。面倒くさい性格だけど、同性同士の恋愛はまだまだ生きづらいでしょうし、計り知れない悩みもあるのだろうと思います。何の苦悩もなく、くっつくBLよりも深みがあって面白いと思いました。絵はこれからに期待で、表情が多様で心情をよく表しています。

レンタさんで入荷されたのを見て久々に読み返しましたが、何度読んでも、やっぱり好きになれない受けでした。1人でウダウダとマイルールに縛られ振り回し、一緒に旅行中に浮気し、挙げ句の果てには縋るという…心情は分からなくはないけども有り得ない身勝手さ。だけど、それを全て呑み込み受け入れる。そんな攻めに贈る星です。

今作も良い。苦手だった絵もさほど気にならなくなってきた。安定のすごい作者さん、今作は拗れた大人の恋愛です。マイペースで肝の据わった攻&臆病で他人の目ばかり気になる受。愛し合ってるけど受の臆病のせいで拗れちゃうだけのお話…なのですがこの作者さんにかかるとこうもドラマチックになるのか、と感嘆。全編通して受目線ですが、言葉が少ないはずの攻の気持ちが其処此処で伝わってきてグッときます。おすすめ！

受けがぐるぐる考えすぎたり、あり得ない行動とったりしちゃって、読んでいて非常にイライラしましたが、いやでも、人間っていったりきたりしながら進んでいくものだよなぁって、最終的には許せてしまいました。なにしろ攻めがめちゃイイ男でしたしね。ただね、だだねー、作者様、そろそろもうちょっと絵が上達してもいい頃なんじゃないかなあ。そしてもうちょっと丁寧に。ストーリーがあまりはまらなかっただけに、絵のほうに目がいっちゃいました。

元々作者様のお話が好きなのですが、今までのお話で1番胸に響きました。今の時代でも同性同士だと堂々と出来ない部分が多く、それを隠そうとする気持ちも分かるし、隠さなくても異性だろうが同性だろうが変わらない時代が来るといいなと読んでいながら思いました。

まるまる1冊表題作。高校の同級生が、20代で再会して付き合うようになり、30を迎えるというタイミングで旅行に出掛けるところから物語は展開されていきます。正直、絵は今時の綺麗な感じではありませんが、そんなの全く気にならないくらい、序盤からストーリーに引き込まれました。男性同士であること、年齢的なこと、色々考えたり世間が気になったり、受のそんな葛藤と攻の愛情の深さが、胸をうちます。言葉のひとつひとつが刺さり、心に残る良作でした。

この作者さんにはいつもいつも期待してしまいます。そして見事に裏切らない。初めから別れるつもりで旅行に誘った受けと、旅行中、それを察してしまう攻めのお話。受けは世間体に怯えて必死に「普通」に見られようとしていて、攻めはそれをわかって合わせてあげてる。受けめっちゃ面倒臭いやん。でも「普通」にこだわるから別れようとしてるんじゃなくて、攻めのことが大事過ぎて限界きちゃった結果なのが健気だな、と。見た目とか言動とか受けのほうが攻めっぽいんですが、攻めが包容力MAXでいいカップルだなと思いました。最初から「別れる」前提でずっと話が進むので読んでる間ずっと切なかった。これからもずっと面倒臭い受けっぽいけど、あの攻めなら大丈夫だと思いますｗ

作家さん買い。インパクトはないけどしんみりとすすむお話です。

これをハピエンと呼んでいいのか？痛い目みて反省した方が良かったと思う。キュンともスンとも…盛り上がる場面もなく。なんか気分の悪さだけが残りました。