レビュー一覧

本で読みました。二つの事件が、絶妙なタッチで描かれていて、二人が少しずつ真相に近づいていくのがワクワクしました。ヒーローが、足が不自由なのに、ヒロインからの同情にヘソを曲げたりして、人間らしい一面もありましたが、さすがに一世を風靡したマジシャンだけあって、他人の心理などを巧みに利用してヒロインの力になってくれました。

複数の殺人、謎の手帳、逃避行と様々な事件が複雑に重なっていて、ハリウッド映画のようなストーリーでとても読み応えがあっておもしろかったです。名前を変えて逃げているのに、怯えて目立たないように生活するのではなく行動的なヒロインも珍しかったです。機転がきいてヒロインを助けてくれるヒーローも素敵でしたが、脇を固めるヒーローおじ、友人のクラブオーナーやホテル従業員たちも魅力的で、良かったです。この作家さんのヒストリカルを今まで4作読みましたが、摂政時代やビクトリア時代のイギリスばかりで、今作は舞台もアメリカ、時代も1930年代といつもより新しくて、雰囲気が全く違っていて新鮮でした。