中国をつくった12人の悪党たち
この国の人民は呪われているのか――。西洋が「罪の文化」、日本が「恥の文化」ならば、中国は「欲の文化」だ。中国史を創出してきた最大の原動力は、欲と権力だった。四千年前から天下国家と万民は「権力の僕」であり、この国の民たちは、権力闘争の犠牲となる運命から一度も逃れることができない。二十一世紀になった現在も始皇帝の負の遺産が受け継がれ、毛沢東の幽霊が漂う。悪をめぐる構造は依然、生き延びているのだ。蘇秦から毛沢東、周恩来まで、中国史を形づくる悪党12人を取り上げ、「英雄」の正体と陰謀の数々を解き明かす。
●「悪いやつほど天下を取れる」それを証明する12人
●蘇秦(そしん)……中国流外交術の原点をなす稀代の策士
●李斯(りし)と趙高……利口な愚か者たち
●劉邦と項羽……無頼漢と貴族的英雄の対決
●王莽(おうもう)漢帝国を乗っ取った史上最大の偽善家
●曹操と孔明……陽気な現実主義者と陰気な精神主義者
●則天武后……男たちの権力秩序を覆した天下の「悪女」
●袁世凱……私利私欲のみに動く「裏切り専門男」
●毛沢東と周恩来……中国市場最大の暴君とその忠実な僕
これはある意味では、筆者自身の中国の歴史に対するひとつの独自の解釈である。このような「一君万民」の権力中心主義こそが中国史の悲劇と人民の不幸の源であり、まさに「諸悪の根源」というべきものであろうと思うが、中国の人民にとってさらに不幸なのは、二十一世紀になった現在でも、秦の始皇帝以来の権力構造は依然生き延びていることだ。(本書「むすびに代えて」より抜粋)
(※ページ数は、680字もしくは画像1枚を1ページとして数えています)
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