主人公。後宮の下級宮女。辺境の静罗（ジンルオ）出身者の特徴である、薄い髪色や目の色を持つ娘。
魔獣を引き寄せる「魔寄せ体質」で、宮廷祓魔師なら自分を救ってくれるかもしれないと思い、会える可能性に賭けて東の果てからはるばる王都へやってきた。
十年前に、魔獣に村が襲われ全滅した災禍より以前の記憶がない。
魔寄せ体質のせいで周囲に迷惑をかけているという後ろめたさから、笑顔で明るく振る舞うことを心掛けていて、女官からのいじめにもひたすら耐えている。

魔獣を討伐することのできる「祓魔師」の一族に生まれ、史上最年少で宮廷祓魔師になった青年。
７歳で両親を亡くし、本家に引き取られてからは不遇の少年期を過ごしたため、感情表現が乏しい。 父親への尊敬の念が大きく、祓魔師の仕事に誇りを持っている。自分のことより、祓魔師の長としての責任に重きを置くタイプ。冷淡なわけではなく、信頼した人間には優しい。
嶺鈴が自分と同じ静罗出身で、父が遺した書物の特殊な文字を読めることから、自分付きの書記官にする。雇った以上は責任を持つつもりで、魔寄せ体質のことも何とかしてやりたいと思ううちに、彼女のまじめな人柄や穏やかな性格に惹かれ始める。

亡き先代宮廷祓魔師の一人息子。楓の従兄。
料理が好きで、楓においしいものを食べさせるのが生きがい。明るく、面倒見がいいタイプ。
本家の跡継ぎでありながら霊力が少なかったために楓に犠牲を強いたことを負い目に感じていて、これから先の人生は楓を支えて生きていこうと決めている。

亥陽国の皇帝。母は色街の女で、先帝の隠し子だった。棚ぼたで帝位が転がり込んできて仕方なく皇帝をやっているが、有能故に周りからの評価は高い。
性格は、合理的で豪胆。楓の生い立ちや境遇に親近感を抱いていて、彼のことを弟のようにかわいがり、その将来を心配している。
皇后、皇妃とは適度な距離感で過ごしているものの、爽（シュアン）貴妃のことは特に気に入っている。

皇后の次に位の高い、4人の皇妃のうちの一人。有力な貴族の娘でありながら、おっとりした朗らかな人柄で野心がない。藍帝に気に入られたことで他の妃から敵視されるも、嫌味に気づかずのんびり過ごしている。

出稼ぎにやってきた下級宮女で、嶺鈴と仲良くなる。純真でかわいらしい性格で、女官らのいじめに耐えながら働いている。

祓魔師の館に住んでいる、神出鬼没な男。国を守る水龍神で、気まぐれに人の姿を取っている。
本体は楓と契約した水龍神で、魔獣の討伐時には楓に力を貸す。長らく宮廷の地下神殿に封印されていたので、万全の状態ではなく疲れやすい。
人間のことは「かわいい動物」と思っていて、基本的には優しくしてくれるが、世を乱す者や欲深い者のことは容赦なく命を奪う。