このケレス島でドクターとして働くことになるなんて……。フランチェスカはこれから同僚となるソティリスを見つめた。背が高く、いかにもギリシア人らしい顔つき。男性に思わず目を奪われるのは久しぶりの経験だ。しかし、彼は仕事にすべてを捧げる女性を毛嫌いしているらしい。フランチェスカは、自分が人からそう見られるのを知っていた。私の本当の気持ちや隠された事実を知る人はいない。いくらソティリスに心を引かれても、彼とは決して深い関係に陥らないようにしなくては。なぜなら、私は彼が最も望むものを与えることができないのだから。

■マーガレット・バーカーが、医療の現場に携わる三姉妹をヒロインとして描いた三部作〈エーゲ海の恋人たち〉も最終話を迎えます。仕事に生きる長女フランチェスカに幸せは訪れるのでしょうか？

新任のドクターを紹介され、看護婦のクロエは凍りついた。そんなはずは……。でも、確かにデミトリウスだわ！　彼は八年前にクロエが情熱的に愛を交わした相手だが、その恋は三カ月で悲しい結末を迎えたのだった。そして今、再びクロエの目の前に立ったデミトリウスの瞳には、ひどく冷ややかな色が浮かんでいた。君は僕のことなど忘れ、幸せな結婚をしたのだろうと言いたげな色が。そう、デミトリウスはなにも知らないのだ。八年間、私が傷ついた心をかかえてつらい日々を過ごしてきたことも、彼との間にできた双子をひそかに産み育ててきたことも……。

■注目の作家マーガレット・バーカーが、医療の現場に携わる三姉妹をヒロインとして描いた三部作〈エーゲ海の恋人たち〉。ギリシアの美しい島で燃え上がる愛が感動を呼びます。

セーラはイギリスでのあわただしい病院勤務に疲れ果て、家族のいるギリシアの美しい小島、ケレスに移り住んだ。そして、十一年前から憧れていたミカエリスと再会した。当時研修医だった彼は、今やケレス病院の院長だ。相変わらず魅力のかたまりのようだが、瞳にはかつてなかった深い悲しみの色が浮かんでいる。いったい彼にどんな出来事が起きたのだろう？　セーラはミカエリスが真実を打ち明けてくれるのを待った。しかし、彼は決して口を開こうとせず、セーラに対して冷ややかな態度をとり続けた。

■注目の作家マーガレット・バーカーが、医療の現場に携わる三姉妹の恋を情熱的に描いた三部作〈エーゲ海の恋人たち〉。ギリシアの美しい島を舞台にして燃え上がるロマンスをご堪能ください。