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「私」の住む家の門には不思議に蔦がある…岡本かの子のしみじみと心にしみる佳編をオーディオブックでお楽しみください!
■朗読者:山下櫻子
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■朗読者:山下櫻子
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死罪を申し付けられた船乗業桂屋太郎兵衛の娘、16歳のいちは、願い書を書いて弟妹たちとともに奉行所に父の助命を乞いに行く。「お上の事には間違はございますまいから」――官僚でもあった文豪の心の綾を垣間見るような佳編。かつては高校の教科書に採録されていました。
■朗読者:中村恵子
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■朗読者:中村恵子
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醜いよだかはみんなの嫌われ者。悪いことをするでもなく、ただ神に与えられた姿と性質が他者に疎ましがられる悲しみに、よだかはついに決意する。それは、他者を攻撃したり排斥したりすることではなくて……宮沢賢治の感動的な名作を、ライブ収録での緊迫感溢れる朗読でお届けします。
■朗読者:葉山ゆかり
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■朗読者:葉山ゆかり
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船が難破し、孤島に流れ着いた兄と妹。助けを求める手紙をこめた瓶を潮に託すが、数年におよぶふたりきりの生活のなかで、兄と妹の関係に変化が生じて……。夢野久作の鬼気迫るムードあふれる代表的短編を、すでに同作品のオーディオブックを収録済みの林恭子が、ライブならではの動きのある朗読で聞かせます。
■朗読者:林恭子
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■朗読者:林恭子
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突然呼び出され、津田周次はかつての許婚と多摩川の料理旅館で二人きりで話をする。かつて自分を捨て別の金持ち男のもとへ去ったくみ子は夫に先立たれ、東京に出てきたのだ。数日後、母と女中のツヤを外出に誘うと、偶然か、多摩川へ行きたいと言う。くみ子とツヤ、二人の女の間で、津田の胸のうちにたつさざなみのような思い……。仕立ての良いドラマのような男と女の物語を、女優・岩崎さとこが抑制のきいた朗読で描き出します。
■朗読者:岩崎さとこ
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■朗読者:岩崎さとこ
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唐の時代、地方長官の閭は僧・豊干に頭痛をたちどころに治療され、赴任先の天台にある国清寺に現代の普賢と文殊=拾得と寒山がいることを教えられる。赴任後、閭は部下を従え輿に乗って、さっそく二人に会いに行くが……。「なんだかよくわからないけれどすごそう!」と思う一般人の心理を鋭く突き、警句を発する「寒山拾得」と、娘のおねだりがきっかけになった誕生秘話であるとともに、さらに謎をかけ知性を問われるかのような「寒山拾得縁起」を、ライブ朗読で!
※ ライブ向けに「縁起」をふたつに分け、冒頭と末尾に挿入する形にしています。
■朗読者:野々宮卯妙
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※ ライブ向けに「縁起」をふたつに分け、冒頭と末尾に挿入する形にしています。
■朗読者:野々宮卯妙
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絵を描くことが好きな「僕」は、どうしても出せない色を友人が持っている舶来の絵の具なら出せると憧憬を抱いたあげく、つい出来心で盗んでしまいます。が、すぐに皆にそのことがばれてしまい、大好きな先生のもとへと引き立てられていきます。絶望に打ちひしがれる「僕」を、優しい先生は……。
ある程度の年齢以上の人ならだれもが一度は教科書などで読んだことがあるはず。そんな教訓的で倫理的なこの話を、アイ文庫の朗読ライブが一般的なイメージ通りに忠実に再現するはずはありません(!?)。非常に奇妙にしかけられた読みによって、聞き手はこの話の中にイメージの錯綜を見るでしょう。文学の冒険のひとつの形として見るのも愉快でしょう。
■朗読者:野々宮卯妙
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ある程度の年齢以上の人ならだれもが一度は教科書などで読んだことがあるはず。そんな教訓的で倫理的なこの話を、アイ文庫の朗読ライブが一般的なイメージ通りに忠実に再現するはずはありません(!?)。非常に奇妙にしかけられた読みによって、聞き手はこの話の中にイメージの錯綜を見るでしょう。文学の冒険のひとつの形として見るのも愉快でしょう。
■朗読者:野々宮卯妙
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都の名人の大工が橋をかけるため村に呼ばれてきましたが、あまりの激流に困り果てます。そこへ鬼が代わりにかけてやろうというので、代わりに目玉をやると約束すると、鬼はあっという間にかけてしまいました。大工は目玉をとられてしまうのでしょうか……。楠山正雄の「日本の諸国物語」から怖いけれど気のいい鬼のお話を、ふたり語りの朗読で。
■朗読者:林恭子、斉藤亜実
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■朗読者:林恭子、斉藤亜実
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天井と、底と、三方の壁とが厚い板でできていて、正面だけが網になっている鳥かご、それが鳥箱先生です。鳥箱先生は、自分のところに来たひよどりに教育をすることで、自分を「先生」だと思い込んでいましたが、実際は自分を先生と呼ばせて喜んでいるだけでした。ある時、鳥箱先生のところへ「フゥ」というねずみが教わりに来ることになりました。ところがフゥねずみは鳥箱先生の言うことを聞こうとせず……。教育をする側、教育をされる側、そのどちらにも批判と教訓を与える、宮沢賢治の社会に対する鋭い観察眼が垣間見える作品。
■朗読者:渡部龍朗
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戦中の大阪の風景の中、荷馬車が橋を苦悩しながら渡っていく姿をいつもながめている、うだつのあがらない主人公。そんなとき、主人公に詐欺師が近づき……人の心の動きと、心の動きを読む詐欺師、そして馬の苦悩の表情がたくみに描かれている逸品を、先に同作品のオーディオブックを発表している春日玲によるライブ朗読でお送りします。
■朗読者:春日玲
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■朗読者:春日玲
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太郎さんはお父さまから銀色にピカピカ光る空気銃を一梃いただきました。大喜びで毎日毎日雀を撃って歩きましたが、一匹もあたりません。そのうちに弾丸が一発も無くなりました。太郎さんはおじいさまの赤い丸薬を盗み出して弾に使いましたら、撃ち損じたその弾を拾い上げた乞食は、その丸薬をなんと若返りの妙薬だというのです……。
■朗読者:矢澤亜希子
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継母に朝から晩まで家事を手伝わされ、夜は薄い布団で震えながら眠る露子さん。女学校への進学希望を伝えると、女の子に学問はいらぬとすげない返事。泣きながら布団に入ると、雨戸の中から調子の良い楽しげな音が。音の正体は、なんと赤い帽子を被り眼鏡をかけて本を読む不思議な虫……夢野久作、海若藍平名義の奇想天外な童話を、個性派朗読家・林恭子が生き生きと朗読しました。
■朗読者:林恭子
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結核が死病だった時代、有島武郎の妻は愛児を遺して死ぬ。遺していかねばならない幼い子ども達への、狂おしいほどの愛情を、夫は子どもらの誕生から説き起こし、少ない母との思い出のよすがとしてやるのだった……愛情に満ちた語り口調が優しく切ない有島武郎の名編。
■朗読者:春日玲
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寒い寒い冬の初めのある日、旅立ちの日がやってきました。今日は、いちょうの実たちが母親のいちょうの木のもとを一斉に離れる日です。いちょうの実の一つ一つが、それぞれに夢を抱いて旅立ちの時を待ちます。ある者は冒険を夢見て、ある者は不安に押し潰されそうになり、ある者はあわてて準備を整え、そしていよいよ朝日がその時を告げるのでした……。自然をモチーフに親子の情愛を描いた、宮沢賢治の人間味あふれる一作。
■朗読者:渡部龍朗
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■朗読者:渡部龍朗
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誰もが知っているアラビアン・ナイトの「アリババと40人の泥棒(盗賊)」を、菊池寛が子ども向けに翻訳。アリババは盗賊団の宝の隠し場所の扉を開ける呪文を盗み聞きし、大金持ちになりますが、泥棒たちはアリババへの復讐を誓い、あの手この手でアリババの命を狙います。ライブ収録での緊迫感溢れる朗読でお届けします。
■朗読者:春日玲
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■朗読者:春日玲
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夢野久作の小品ばかりを集めた特集の朗読ライブ。なかには童話作品として海若藍平名義で発表したものもあります。とくに後半の「縊死体」と「キキリツツリ」は極めつけの奇妙な話であると同時に、ライブレコーディングならではの即興的表現を用いての、たんなる音読とははるかにへだたった表現が楽しめます。演出・音楽、ともに水城雄。
1. 「お菓子の大舞踏会」朗読=林恭子
2. 「青水仙赤水仙」朗読=山下櫻子
3. 「私の好きな読み物」朗読=渡部龍朗
4. 「白椿」朗読=本田ゆり
5. 「縊死体」朗読=野々宮卯妙
6. 「キキリツツリ」朗読=林恭子
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1. 「お菓子の大舞踏会」朗読=林恭子
2. 「青水仙赤水仙」朗読=山下櫻子
3. 「私の好きな読み物」朗読=渡部龍朗
4. 「白椿」朗読=本田ゆり
5. 「縊死体」朗読=野々宮卯妙
6. 「キキリツツリ」朗読=林恭子
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日本橋の豪商河内屋は、旗本稲川伯耆から狩野探幽斎が描いた鬼の図を売りたいという相談を受ける。半金で仮に預かるという相談でその軸を渡された番頭の忠三郎は、その雪降る帰り道、本郷森川宿の「化け銀杏」下で何者かに投げ飛ばされ気を失い、軸と懐の百両を奪われてしまう。半七と子分の仙吉が探りを入れていくが、事件は一筋縄ではいかなかった。幕末の江戸で、人情にゃ篤いがクールな知性派、半七親分が大活躍!
■朗読者:網野隆
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下水川のほとりに住む、ねずみの「クン」は自尊心の旺盛なねずみです。でもその自尊心は、他人をそねむ、ということにばかり向けられていました。クンねずみはいつも、仲間のねずみが、自分よりも難しい言葉を使ったり、自分よりも偉い立場になったりすると、大きなせきばらいで人を威嚇するのでした。ある日クンねずみは鼠会議員のテねずみをそねみ、テねずみの怒りを買ったばかりに、処刑されることに決まって……。ちいさな体とちいさな心を持ったねずみの哀れな生き様を描いた、宮沢賢治の愉快な一編。
■朗読者:渡部龍朗
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漱石、胃病で入院中のひとこまを描いた小品。病院で過ごす夜、隣の部屋から聞こえてくる、まるで大根をおろしているかのような「変な音」。気にしつつも、いつしか忘れていたある日、隣の患者を看ていたという看護婦と顔を合わせ……。
■朗読者:相原麻理衣
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文才を認められてしまったばっかりに……作文が雑誌にとりあげられ、賞賛された少女が、教師をはじめ周囲の大人たちの過剰で的外れな期待に徐々に精神をゆがませていく悲劇。太宰の一人称小説の佳作を、ライブ収録での緊迫感溢れる朗読でお届けします。
■朗読者:葉山ゆかり
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■朗読者:葉山ゆかり
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いたずらものの狐のごんは、ある日、いつもの調子で兵十のしかけをいたずらし、かかっていた鰻を逃してしまいます。でも、そのあと兵十がおっかあの葬式を出すのをみて、あの鰻は病気のおっかあのためのものだったのだと知るのです。激しい後悔に苛まれたごんは、密かに償いを始めるのでしたが……。新美南吉のあまりにも有名な作品を、朗読で。お子さまと一緒にお楽しみください。
■朗読者:まりも
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■朗読者:まりも
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江戸時代の刑法談義から、半七老人が『御仕置例書』から書き抜いた興味深い事件を語る――下総国新石下村の猪番小屋で、松葉の煙にいぶされて五人の若者が死に二人が重体という事件がおこる。伝説の小女郎狐が彼らが以前に殺した小狐の復讐をしたのだと村人たちは噂するが、八州廻りの岡っ引、常陸屋の長次郎は一月前に村娘のおこよが亡くなった一件と関わりがあるのではと睨む。はたして犯人は? そして江戸の奉行所に委ねた裁決は? 演出=水城雄。
■朗読者:澤田雅世
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新宿・若松屋の女中・トシちゃんは、太宰らが飲んでいるとすぐ図々しく話に割り込んでくる鼻つまみ者。太宰が連れてくる画家や音楽家をみんな小説家だと思い込み、ピアニストの川上六郎を川上眉山と勘違いする無知ぶりに、陰で「眉山」と呼ばれる始末。「眉山の大海」事件や「味噌踏み眉山」事件など滑稽な騒動を次々起こし、太宰らは笑いに笑って馬鹿にしていたが、そこに潜んでいた謎が解けたとき……太宰のシニカルな視線が最後に涙に変じるどんでん返し、人の優しさと哀しさがにじむ、何度聞いても泣けてくる名作短編を朗読で味わってください。
■朗読者:野々宮卯妙
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■朗読者:野々宮卯妙
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諒安は、霧深い険しい山谷を一人歩いている。歩いていくうちに、諒安はどこからか不思議な声を耳にする。
「これはこれ 惑う木立の 中ならず しのびをならう 春の道場」
険しい山谷を登りきったとき、諒安はその不思議な声の主と対面し、言葉を交わす。そして、言う。「マグノリアの木は寂静だ」と――。
宮沢賢治の宗教的感性を窺わせる、幻想的な一編。
■朗読者:渡部龍朗
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険しい山谷を登りきったとき、諒安はその不思議な声の主と対面し、言葉を交わす。そして、言う。「マグノリアの木は寂静だ」と――。
宮沢賢治の宗教的感性を窺わせる、幻想的な一編。
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牛曳きの利助と人力車曳きの海蔵は、いつも仕事の途中で水を飲むために泉に立ち寄る。この泉は道から山にわけいったところにあり、山道を通る人々にとっては大きな負担となっていた。ある日、利助が山道のかたわらにある椿の木に牛をつなぎ、泉に寄ったところが、戻ってみると、牛が椿の葉をみんな食べてしまっていた。その椿は地主の大事な椿だったため、利助は、その場で地主から屈辱的な叱責を受ける。その事件の一部始終を目の当たりにしていた海蔵は、ある決心を胸に抱き……。人のために働くことの尊さを静かに伝える新美南吉の名作。
■朗読者:秋茜
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公園で新聞を読み終えるとニヤリとほくそえみ、煙草に火をつけるサラリーマン。彼は女を殺し、自殺偽装していたが、その事件がまだ発覚していなかったからだ。だが落ちていた新聞に載っていた記事を見て男は……!? 狂気を描く作家、夢野久作の短編を、異様さをもりあげるライブ朗読で味わってください!
■朗読者:野々宮卯妙
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ライン川のほとりの、ある城下町。何も持たずに世界中を飛び回る燕と、黄金や宝石を身にまとって街を見守り続ける銅像の王子が出会いました。動けない王子は燕に頼みます。私の体の金を剥がしてくれ、と……。王子の望みは、街の貧しい人々に自分の体の金や宝石を届ける事でした。燕は王子の頼みに応じ、街中の貧しい人々に金を配ることになります。しかし、冬になれば燕は南へと飛び立たねばなりません。やがて王子はもはや体中の金が剥がれ、みすぼらしい姿になっていました。そして、冬がやって来ました……。オスカー・ワイルドの童話「幸福な王子」を、明治の文学者・有島武郎が翻案。
■朗読者:林恭子
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慶応三年八月。筆屋の東山堂は看板姉妹が穂先を舐めてそろえてくれる「舐め筆」で繁盛していたが、その姉娘・おまんが毒死。半七は妹娘のお年の縁談に目をつけ、常磐津師匠の妹・お粂のつかんだ手がかりをもとに、犯人を追って上州・妙義山へ……幕末の江戸で、人情にゃ篤いがクールな知性派、半七親分が大活躍!
■朗読者:野々宮卯妙
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神という地位にありながらも野蛮で乱暴な土神と、見栄っ張りなきつね。二人は森の中の、一本の樺の木に恋をしています。樺の木はどちらかというと、おとなしくて物知りなきつねの方が好きでした。しかしきつねは樺の木の気を引こうと、嘘の自慢話をしてしまいます。そのことできつねはいつも罪の意識に苛まれ、苦しみます。一方土神の方は、きつねが樺の木と仲良くしているのを見て、嫉妬と自己嫌悪に襲われ、居たたまれない気持ちを抱えて暮らしています。二人の樺の木を想う恋の炎は、いつか森を焼き尽くさんばかりに大きく激しく燃え上がって……。宮沢賢治が三角関係を描いた、童話的恋愛小説の傑作。
■朗読者:渡部龍朗
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かくれんぼをしていた東一少年が家の倉の中で見つけたもの、それは一つの古いランプだった。長い長い時を倉の隅で過ごした古いランプを見つめて、少年の祖父は長い昔話を始める。……むかし、岩滑新田の村に巳之助という少年がいた。その頃はランプというものがまだ珍しかった時代だ。そんな時代に、巳之助はランプ屋を志す。ランプの放つ明るく美しい光に、どうしても心惹かれて止まなかったからだ。努力の末、巳之助の商売は成功を収めたかに見えた。しかし、文明の波はその村にもゆっくりと近づきつつあった。村に、電気が引かれることになったのだ。そして巳之助は……。新旧の入れ替わりと人々の葛藤、それを乗り越えて受け入れていくことで得るもの、そして失うもの。滑稽味と哀切さが同居する新美南吉の名作。
■朗読者:秋茜
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