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復員し、今は著名な出版社の出版部長を務める矢島は古本屋で、かつて自分が所有していたことのある一冊の本を見つける。なにげなく開いてみると、そこに一枚の紙がはさみこまれていて、暗号らしき数字が書きつけられていた。矢島はそれを買い求め、暗号を解読していくのだが、やがて彼のなかにある疑惑が生まれてくる。自分の出征中、友人の神尾とわが妻タカ子との間に人には言えぬ関係があったのではないか、と……『明治開化 安吾捕物』などミステリー小説も多く書いた安吾らしい、しかしラストにしみじみとした情感をもたらす逸品です。
■朗読:矢澤亜希子
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太郎さんはお父さまから銀色にピカピカ光る空気銃を一梃いただきました。大喜びで毎日毎日雀を撃って歩きましたが、一匹もあたりません。そのうちに弾丸が一発も無くなりました。太郎さんはおじいさまの赤い丸薬を盗み出して弾に使いましたら、撃ち損じたその弾を拾い上げた乞食は、その丸薬をなんと若返りの妙薬だというのです……。
■朗読者:矢澤亜希子
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