
世界大戦終結――。イギリスの諜報員、ゲール・シメオン中佐(通称:レフトアイ)は、元ドイツナチ党員だったノウエル・ザイケルをかくまい、スイスの豪奢な山荘で共に暮らしていた。ノウエルは、かつてレフトアイが愛したローベルト中尉の双子の兄だ。レフトアイは、ローベルトそっくりな金髪・碧眼の美しい彼を【ヴィネガー・プリンス】(気難し屋の王子様)と呼び“花嫁”扱いしていたが、潔癖なノウエルは【大切な弟を無理矢理犯したケダモノ】という先入観から、レフトアイが迫ってくるたび、力ずくで拒んでいた。ナチ・ハンターに追われる自分を、敵国の男がなぜ助けるのか……。反発するノウエルにレフトアイは、ある日提案をする――「これからキスする。俺が君をここにおく理由がわかるようなキスだ。イヤなら逃げろ」。天野瑰の代表作『寂寞を棄て春を待ち』シリーズ★スピンオフ・ロマンス第1巻!

第二次世界大戦の終焉――。トラウマをかかえて生きる異眼の男、武装親衛隊特務曹長・マイヤーは、護衛の任務を受け、金髪碧眼の美しいローベルト中尉に出逢う。ある日、マイヤーはローベルトに1枚の偽造旅券を渡し国外逃亡をうながすが、「一人では生きていたくない」と、その場で旅券を破り捨てられてしまう。そうして始まった逃避行のさなか、マイヤーにいきなり服を脱がされたローベルトは「いやなら“やめろ”と命令すればいい」と言う彼を振りほどけず、身体を捧げてしまう。それ以来、部下と上官という身分を越え、お互いを求めずにはいられなくなってしまうが……。ドイツ・ナチを舞台に、純愛と愛欲に翻弄される男たちを描く感動の長編グランドロマン【寂寞を棄て春を待ち】シリーズ!