プロポーズの裏に秘められた真実を知らず、彼女はすべてをセクシーな婚約者に捧げた。■ドルー・コネリーの立派な邸宅の前で、クリスティーナはためらいと気後れを覚えていた。彼は私を見たらどんな顔をするのだろう？　豊すぎるピップと胸のせいで、いつも男性にはばかにされ、からかわれるだけの存在だった。だからドルーの“容姿は気にしない”という言葉に賭け、Eメールでのプロポーズにイエスと答えたのだ。会ったこともない人と婚約なんて無謀なまねだと知っていたけれど、優しさにあふれるメールを何通ももらううち、クリスティーナはドルーに好意を抱いた。これから結婚に向けての同居生活がスタートする……。まだ見ぬ花婿に会うため、彼女は勇気を出してベルを鳴らした。

お金と夜のためだけの結婚が、これほどつらいものだったなんて。■彼にだけはこんな姿を見られたくなかった。食堂（ダイナー）に現れたセス・コネリーに近づきながら、リンは思った。詐欺師にだまされ莫大な借金を背負ったせいで、毎日働きづめだ。きっとやつれてひどい姿に違いない。案の定セスはリンの様子に気づき、事情を聞き出すと、仰天するような提案をした。「君の夫として、借金を返済しよう」リンは少女のころからセスを想ってきた。できればイエスと答えたかったが、人助けのためにプロポーズしただけかもしれない。だが「これは本当の結婚なの？」という問いに、セスは熱い目をしてうなずいた。リンの胸に喜びがあふれた。うぶな彼女は気づかなかったのだ。“本当の結婚”とは、愛しているという意味ではないことを。

彼の目的を知ってさえいれば、愛したりはしなかったのに。

■私は地味で冴えない女。モーラはよくわかっていた。真剣に交際していたはずの恋人にあっさり捨てられ、モーラはますますその事実を痛感させられた。だから、同じ病院に勤める医者ダグラスにプロポーズされたとき、唖然として言葉が出なかったのだ。ダグラスは評判の小児科医で、おまけに罪深いほど魅力的な男性だ。女なら誰でも憧れるような彼が、なぜ私に結婚してくれと？　だがダグラスの話を聞いて、モーラは納得がいった。彼は愛の永続性など信じず、友情こそが結婚に必要だと考えている。よき仕事仲間であるモーラは最適だというわけだ。悲しみを抱えつつも、モーラはイエスと答えていた―― いつか彼が自分を愛してくれるかもしれないと、はかない望みを抱きながら。

■彼との思い出をこの身に刻みたい。今求めているのは、それだけ。

■チャンス・バーネット・コネリーが、実の父グラントに会いにやってきた。コネリー家の私設秘書ジェニファーは、彼を見て息ののんだ。なんてたくましくセクシーなのだろう。おまけに彼は見かけ倒しの男性ではなく、思いやりもあり、何かとジェニファーを気遣ってくれる。二人の距離は急速に縮まっていったけれど、ジェニファーは自分に言い聞かせた。彼は女性よりも危険を愛する男。誰とも長くつき合わないと公言してはばからない。いずれ私を置いていなくなってしまうのだ。だが、ジェニファーの思いは募るばかりで、ついに二人は運命の夜を迎えた……。

■傲慢なシークと氷のプリンセス。二人の熱い闘いが始まろうとしていた。

■ワルブラクのシーク・カジ・アル・ビン・ルサードは、舞踏室に立つアルタリアのキャサリン王女をじっと見つめた。彼女なら条件を満たしている。王位を継ぐため、カジは早急に身分の高い女性と結婚する必要があった。男を寄せ付けないと評判の女らしいが、そんなことは関係ない。僕の魅力にあらがえるはずはないのだから。冷酷な笑みを浮かべ、カジはキャサリンのもとへ歩み寄った。キャサリンは生まれて初めて、手強い男に出会った。隣国のシーク、カジは彼女の拒絶などものともせず、強引に口説いてくるのだ。本当に頭にくるわ！　だがキャサリンはカジに内心惹かれていた――決して愛されているとは思えなかったけれど。

■今作はアルタリアを舞台に繰り広げられる、シークとプリンセスの物語。殺人事件の謎解きも絡む、読み応えある一冊です。

■プレイボーイの撃退は得意でも、彼の優しさにはあらがえない……。

■とびぬけたハンサムでやりての実業家。しかも名門コネリー家の一員。ブレット・コネリーが女はみんなひざまずくと思うのも無理はない。だが、私は違う。彼がどんなに魅力的な笑みを見せても、単なる事件の関係者として扱うだけだ。打ち合わせと称して連れていかれたレストランで、エレナは立ち上がるとブレットをにらみつけ、口を開こうとした。ところがそのとたん、急に気分が悪くなり、倒れてしまう。ブレットは病院まで付き添ってくれたうえに、自分の家に泊まるよう勧めた。まさかまだ誘惑するつもりなの？　エレナは疑ったが、彼の心配そうな表情に、思わずイエスと答えていた。

■彼が真実を知ったなら、私を憎むに違いない。

■乱れ髪に半裸でドアを開けた男性を見て、エリンは息をのんだ。まさか彼がダニエル・コネリー？　アルタリアの次期国王の？　無骨でがさつなアメリカ人だとは聞いていたけれど、こんなにたくましく、セクシーな男性だったなんて！　これからしばらく彼と一緒に行動し、宮中儀礼を教え込まなくてはいけないのに、大丈夫かしら？　エリンの不安は的中した。ゴージャスな外見と、飾らない人柄のダニエルに魅せられ、純真な彼女はたちまち恋に落ちてしまったのだ。身分違いというだけでなく、エリンには彼を愛してはいけない理由があった。彼女はダニエルを陥れるために送り込まれたのだ。

■王家の血を引くアメリカの大富豪一族が王位をめぐり繰り広げる壮大なストーリーは毎月目の離せない展開です。どうぞお楽しみください。

■信頼すらないプロポーズ。その目的は、花嫁の監視。

■一生裏切り者の烙印を押されたままでも、もうコネリー家とかかわってはいけない。グラント・コネリーの秘書シャーロットは黙って姿を消し、場末の食堂（ダイナー）でウエイトレスとして働き始めた。愛するレイフにも二度と会えないかもしれないけれど、彼と過ごした一夜の証はしっかりと刻まれている。この子と二人、ひっそりと生きていこう。だが、レイフ・コネリーには事態を静観するつもりなどなかった。シャーロットの妊娠を知った今、取るべき道は一つだ。たとえ、コネリー家に対する陰謀に加担した女であろうとも、妻として迎え入れるほかはない。レイフは彼女の勤める店へと乗り込んだ。

彼がアルタリア次期国王のダニエル・コネリー！？　がさつなアメリカ人と聞いていたのに、こんなに素敵でセクシーなんて……。宮中儀礼を教える為に渡米したエリンは、一緒に行動する内、彼に恋してしまう。だが身分違いな上に、エリンには彼を愛してはいけない理由がある。エリンは彼を陥れる命令を受けているのだ……！
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