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死は終わりではない。むしろそこから何かが始まる場合がある――。肉体を離れ、より自由な存在となって、生前なし得なかった復讐や暗い欲望を叶えんと暴走する魂もある。生者も死者も、魂のある限り人は憎しみの感情から逃れられず、呪い合う運命なのかもしれない。3人の個性豊かな怪談ハンターたちがそれぞれの嗅覚で恐怖を掘り起こし、その怖さを競う恐怖箱トリニティ。
シリーズ10作目となる今作は、かつてないほどにヘヴィーでディープな怪談が集まった。体験者、取材者、読者――このもうひとつのトリニティすべてに、深い傷の如き何かを確実に残すであろう凄みのある実話ばかりである。
恐怖とは痛み――そんな想いが確信となって胸に迫る一冊をぜひご一読いただきたい。
シリーズ10作目となる今作は、かつてないほどにヘヴィーでディープな怪談が集まった。体験者、取材者、読者――このもうひとつのトリニティすべてに、深い傷の如き何かを確実に残すであろう凄みのある実話ばかりである。
恐怖とは痛み――そんな想いが確信となって胸に迫る一冊をぜひご一読いただきたい。
先祖の御霊を西方浄土へと送る精霊舟。迷わず彼岸を目指す魂もあれば、未練の舫い(もやい)を解けずに此岸に留まる者もある。そして、供養もされずに彷徨う霊たちは、俺も私も乗せてくれとばかりに、他人の舟に縋りつく(すがりつく)。
しめやかに行われる盆の儀式。我々の目には、宵の水面に浮かぶ舟の姿しか見えないが、裏では霊たちの攻防、魂の葛藤が繰り広げられているのかもしれない。貴方は今、目に見えぬものを信じる、信じてみようとする余裕はおありだろうか。不思議な話、忌まわしい話、吉凶含めて「或いはそんなこともあるのかもしれないな」と思えるなら、勝ち組だ。世界は無限に広がるだろうし、心は豊かになる。
いま一度明言しておくが、本書に収録された話はすべて、体験者の実在する、現実に起きた恐怖譚を聞き集めたものである。信じられないというよりは、信じたくない話もあるだろう。
だがそれらを受け入れ、さらには楽しむ豪胆さこそが、この殺伐としたリアルを生き抜く術となるのではあるまいか。怪を嗜む(たしなむ)――その一歩に本書を捧ぐ。思わず「怖い……」の声が出る。体験者の実在する、衝撃の怪異譚!
しめやかに行われる盆の儀式。我々の目には、宵の水面に浮かぶ舟の姿しか見えないが、裏では霊たちの攻防、魂の葛藤が繰り広げられているのかもしれない。貴方は今、目に見えぬものを信じる、信じてみようとする余裕はおありだろうか。不思議な話、忌まわしい話、吉凶含めて「或いはそんなこともあるのかもしれないな」と思えるなら、勝ち組だ。世界は無限に広がるだろうし、心は豊かになる。
いま一度明言しておくが、本書に収録された話はすべて、体験者の実在する、現実に起きた恐怖譚を聞き集めたものである。信じられないというよりは、信じたくない話もあるだろう。
だがそれらを受け入れ、さらには楽しむ豪胆さこそが、この殺伐としたリアルを生き抜く術となるのではあるまいか。怪を嗜む(たしなむ)――その一歩に本書を捧ぐ。思わず「怖い……」の声が出る。体験者の実在する、衝撃の怪異譚!
いよいよこの3人の登場である。実話怪談コンテスト【超-1】2007年度大会でトップ3に輝いた文句なしの実力派、薮蔵人こと渡部正和、ダウンまたは PONKENとしてお馴染みの鳥飼誠、そしてもりけんたこと矢内倫吾である。大会終了から1年、もちろん彼らは眠っていたわけではなかった。さらに恐ろしい話、さらに珍奇な話を着々とその懐に集め、温め、熟成させていたのである。多作かつ逸話ぞろいの彼らだが、今回はその中でもこれはちょっとハンパないというネタのみを厳選し、恐怖箱の中に投げ込んでくれた。言い換えれば、これ以上自らの懐に入れておくのは勘弁してほしいというネタでもある。それが3人分……いやはや中は大変なことになっている。何が飛び出すかわからないゆえ、蓋を開ける際はくれぐれもご用心あれ。
怖い話が好きだ。だが、どれほど怖くとも、それが「フィクション」では興をそがれる。自分が生きるこの世界の、同じ現実の中で誰かが体験した話であるからこそ意味がある……そうお考えの実話怪談ファンに捧ぐ、本当にあった怖い話。実話怪談大会【超-1】で才能を見出された新進気鋭の3人が、それぞれのルートで入手したとっておきの怪奇譚を書き下ろした本書は、正直これが事実だとは思いたくない不気味さだ。体験者がひとりで抱え込むには重すぎる恐怖の記憶を、丁寧な取材で聞き書きし、再現してみせた話の数々はどれも生々しく、当事者の驚きや慄き、時に切なさや痛みまでもを伝えてくる。信じるにたる逸話ぞろいである。実録でありながら、読み物としても味わい深いこれらは、必ずや恐怖に飢えた実話怪談ファンの胃袋を満たしてくれることだろう。