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内容紹介
倫理もなく、理屈もない。奇妙な出来事が、ただそこにある――。
初々しい新婚夫婦。しかしふたりは、たがいに秘密を抱えていた。そして男はなぜ新婚旅行先に忌まわしい思い出が残る旅館を選んだのか。旧い結婚観が招いた悲哀劇(表題作)。
新発見の感染症の手がかりを追う保健所の職員は歪んだ虹色の世界を覗き見る(「蟻の塔」)。
アメリカで妊娠した修道女は、日本で病床にある教主とのあいだにできた御子だと主張するが……。果たして、彼女が語るのは奇蹟か幻想か(「聖女」)。
女の生涯には、常に蟻が這い回っていた(「蟻の声」)。
光に眩み、闇に溺れる。罪を犯して贖いて、果てに待つのはおぞましくも美しき混沌の世界。地獄極楽板一枚。ただひたすらに、酔え、惑え。
文庫初収録三篇を含む、江戸川乱歩賞作家円熟期の短篇集。
倫理もなく、理屈もない。奇妙な出来事が、ただそこにある――。
初々しい新婚夫婦。しかしふたりは、たがいに秘密を抱えていた。そして男はなぜ新婚旅行先に忌まわしい思い出が残る旅館を選んだのか。旧い結婚観が招いた悲哀劇(表題作)。
新発見の感染症の手がかりを追う保健所の職員は歪んだ虹色の世界を覗き見る(「蟻の塔」)。
アメリカで妊娠した修道女は、日本で病床にある教主とのあいだにできた御子だと主張するが……。果たして、彼女が語るのは奇蹟か幻想か(「聖女」)。
女の生涯には、常に蟻が這い回っていた(「蟻の声」)。
光に眩み、闇に溺れる。罪を犯して贖いて、果てに待つのはおぞましくも美しき混沌の世界。地獄極楽板一枚。ただひたすらに、酔え、惑え。
文庫初収録三篇を含む、江戸川乱歩賞作家円熟期の短篇集。
世間を震撼させた猟奇殺人は極限の愛の形だった。情夫の遺体に愛の刻印を血文字で綴った女……、その名は阿部定。三十路に差し掛かった定は、流浪の人生に疲れを感じはじめていた。真面目になろうと決意し、水商売から足を洗い割烹料理屋の女中になったが店の主人・石田吉蔵と不貞を犯し、愛欲に溺れてしまう。「―――吉蔵を殺し、永遠に自分のものにしたい!」定が犯した猟奇殺人は愛ゆえの行動でもあった……。収録作「気違いの象」ほか「不良時代」「父」「震災前夜」「富山市清水町平安桜」「コレラと梅毒」「籠の鳥」の全7話を収録。