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第2次大戦末期。スイスとの国境に近いドイツの第17捕虜収容所。ここの第4キャンプには、アメリカ空軍の兵士ばかりが収容されていた。しかもすべて軍曹ばかりで、いろいろな悶着がよく起こるのだった。クリスマスに近いある夜、2人の捕虜がみんなの協力で、脱走することになった。2人が出かけたあと、無事に脱出できるかどうかの賭けが始まった。悲観説をとなえたのはセフトン軍曹。まもなく銃声が聞こえ、2人は射殺されたことがわかった。この計画が発覚したのは捕虜のなかにスパイがいるからにちがいないと、皆の間で問題になる。お人好しのストッシュ、その親方のハリー、いつもオカリナを吹いているジョーイ、自警委員のプライス、一本気のハーフィ、それにセフトンとセフトンの子分のクキーなどのうち、最も疑われたのはセフトンだった。実際セフトンは抜け目ない男で、衛兵を買収してひそかに外出したりするので、疑われる理由は充分だった。だが、本当のスパイは意外な人物であった。
ドン・バーナム、33歳。大学時代から小説家になることを夢見て、大学を中退してNYに飛び出してきたのだが、いっこうに小説は売れない。売れなくとも書いているうちはよかったが、書けなくなってきて、気を紛らそうと一杯の酒を飲んだのが全ての始まりで、ドンはアルコール中毒になってしまった。弟思いの兄ウィックのアパートで兄弟は二人暮らしをしていて、何から何までドンは兄まかせである。十日ほどの酒びたりからやっと目覚めた弟を、ウイックは田舎へ連れて行って健康な生活をさせようと企画する。出発の準備の最中、ドンの恋人ヘレンが音楽会の切符を二枚持って訪ねて来る。ドンは3時の列車の予定を6時半の列車に延ばし、無理に兄を彼女に同伴させる。しかし酒は一滴もなく、金も一文なし。どの酒屋も現金でなければドンには酒を売らない。そしてドンは掃除女の給金10ドルをネコババしてまた酒を飲んでしまう……。
ハリウッドのサンセット大通りに面するある邸宅のプールに、若い脚本家ジョー・ギリスの死体が浮かんだ。死んだ彼はそのいきさつを語る……。失職ライターのジョーは、映画会社への脚本売り込みも思い通りに進まず、貧窮のどん底にあった。ある日月賦の払込み不足から自動車会社の男に追いかけられたジョーは、サンセット大通りにある荒れ果てた邸宅に逃げ込む。そこにはサイレント映画の大女優ノーマ・デスモンドが、かつての監督であり、最初の夫だったマックス・フォン・マイアリンクを執事として、過去の夢に生きていた。ジョーが脚本家だと知ると、ノーマは主演を念願している「サロメ」のシナリオを書くように、とジョーを邸に泊めさせることにした。若いジョーにとって、この妄想狂の老女の相手は空虚な生活に違いなかったが、ずるずるとその位置にはまり、ノーマと抜きさしならない関係に落ち込んでゆくのだった……。