kotokotokemurinさんのレビューリスト　

これはよい。いちいち「？？？」ってなるところも可愛い。「強いＤＯＭなんで(キリッ)」ってなるところも毎回いい流れ。コーナーに行くところはフフってなる。この作家さんの、愛があってどちらも男前に描かれている作品が好きだ。

平安文化の日常ラブコメディ。桃尻語訳とかジャパネスクとか、懐かしい人には懐かしすぎるテイスト。それはそうとして、全巻かけて出会うところまでだというのが、平安貴族の顔も見ないで季節を愛でながら文を交わして想いを重ねる設定に沿った構成になっていて、説得力が素晴らしい。また、平安貴族の宮中や生活行事の描写も現代ネタを交えて実に自然で上手く、楽しく読んだ。これは疲れたときに何周も読み返して癒されるヤツ。

ハピエンなのはわかっていた。見届けられて本当によかった。幸せに生きてると思う。

この作家さんが描く苦味成分が今回はまったくナシ。どストレートに甘い。なんだろか、作家さんに推しができたのか。

そりゃBLはファンタジーだけれども、そんなに簡単に高校生を認めるかな先生…という印象。自分にはあまり説得力がなかった。丁寧に描かれているという評価が多いみたいだが、短編であっさり単純過ぎるという逆の感想を持った。絵は非常に綺麗でそれこそ丁寧で繊細。

いい話が詰まっている連作短編集。みんなBLというファンタジーでも、こんな風に優しく丁寧に描けるのだなぁ。

ボーイズがラブなのはそうだが、そんなことよりも旅と成長の物語。陳腐な表現だが、人との出会いと世界の広さが弱気な主人公を強くしなやかにしていく。4巻まで読んだけど、幸せになってほしいが終わってほしくない気持ちでいっぱい。多くの人が評している、風景描写は本当に素晴らしい。

アザミやナカモトがなぜ彼をあっさり(していたように感じた)解放したのかは曖昧なまま、最後の方は一気にすべての柵を振り切っていった。メアリーロスにもう少し罰があるとスッキリしたかもな。それでも、3人の絆が最後まで崩れず強いままなのが本当によかった。3人の穏やかな、いやちょっと事件に巻き込まれて、でも天才(努力あってのだけど)の頭脳と腕力で解決するような日常を番外編の単発でいくつか読みたい。彼らが本当に無事なこと、今も仲良しなことを確認したい気持ちでいっぱいである。

作者買い。いつも通り愛はあるが、それにしても他の方も書いていたとおり、今回はとにかくわかりにくい。誰が何やらごちゃごちゃしている。雰囲気を味わってやり過ごした。辺境のカレンデュラの片鱗は、本当に片鱗すぎて期待しない方がいい。そりゃあの名作のカケラでも嬉しいけれども。

どうせこうなるとわかっていたけど焦らされすぎだわ。幸せにおなり。