ネジさんのレビューリスト　

五十過ぎなんてＢＬのオヤジにも程があるので、普段なら絶対読まない設定です。でも「逃亡者」の続編ということで興味を引かれて読みました。「逃亡者」では晃一の失踪の理由が謎のままでよかったのです。謎だからこそ残された家族の苦悩があるのだし、そこから朋彦の苦悩と真之との恋愛ストーリーが成立するので。ただ晃一と祐二を出した以上、どういう風に「逃亡者」までの十数年の物語を小説として回収するのかなという一点が気になって読みました。結果は・・残念。祐二の救いのない生活が延々と描かれますが、もちろん甘さはなく、晃一もただ優しいオジさんのまま。晃一の日常に横たわる闇や苦悩や祐二への切迫した思いが伝わってこないので、晃一がすべてを棄てて祐二との人生を選ぶクライマックスが不十分だし、二人の逃避行の描写も急ぎ足。これでは「逃亡者」も小説として成立できなくなってしまいます。むしろ逃避行の日々に重点を置いて二人の恋愛をじっくり描けばよかった気がする。力のある作家さんだけに残念です。☆５のレビューをするのが信条なのですが、「逃亡者」が気に入っていただけに、初めて辛口レビューをさせていただきました。

レビューがないので「受が酷い目にあうかも」と、ちょっと警戒しましたが大丈夫でした（笑）。年下の誠実な攻と色っぽい大人の美人受。受は家庭環境から自分の人生や恋愛にネガティブでいつも逃げているのですが、攻との出会いによって翻弄されながらも自分と向き合って人生を取り戻して行くお話。元カレ含めて出てくる男がいい男ばかりで悪人はいません。ただ恋愛中心の前半から、後半は同性愛と家族という主題に比重が傾いていきます。私は、丁寧で真面目な展開と描写だったのでとても好感が持てましたし、登場人物全員が幸せになればいいなと思えるラストです。が、そもそも一つの家庭が壊れている上での話なので、ここは好き嫌いが分かれるかもしれません。

レビューを読み、痛いところがなく読みやすいということで読んでみました。この作家さんは受がひどい目にあったり、攻も怒りなどから受にひどいことをすることがあるので警戒していましたが、大丈夫でした（笑）。逆に攻がハードボイルドで寡黙ながら、とっても優しくて甘いのがよかったです。脇役も良い人ばかり。安心して読めます。ただ受の特殊能力を用いて事件を解決するという設定なので、最初に読んだ時には、もっと主人公たちを事件に巻き込んで掘り下げた展開がある方が面白いだろうと思いました。でも、そこはやはりＢＬ。再読してみると、こういう（いろいろな意味で）甘い展開の方が主人公二人の物語に焦点を絞っている点で良いかと思い、☆５にしました。

同性愛に対する苦悩や葛藤等は皆無ですし、シリアスな要素はありません。なので物足りないと思う方もいると思いますが、私は気楽に楽しく読めるものを、というつもりで読んだのでとてもよかったです。攻の脳内描写がとても面白くてくすくす笑わせてくれますし、受もとても誠実でいい人です。あまりに安心展開なので、何かとんでもない事件が起こるとか、もしかすると私の受け攻めの想定が覆されるとか？とかまで思いましたが、そうしたものもないので・・。やはり安心して楽しくライトなコメディタッチのものを休日に読みたいな、という方におすすめです。終盤の二人が結ばれるシーンでは、眞田さんがなかなか堂々たるリードを見せてくれたのがちょっと意外で楽しく、その後の二人の甘い幸せな日々が想像できてよかったです。

きれいな表紙が気になっていたし、皆さんのレビューを信じて読みました。本当によかった！！ちょっとメルヘン的だけど、こんな二人がひっそりとどこかリアルの世界で幸せになっているかもしれない、と思わせる小説世界です。主人公の二人もよかったけど、個人的には芙蓉のおばあちゃんの存在が心に沁みました。たくさんの方に読んでいただきたいです。

とにかく伊月が幸せになってよかった・・！大人の男に思いっきり愛されて甘やかされるという設定はやはりいいですね。

レビューがなかったのですがこっそり失礼します。シリーズの１作目。再会ものですが、吹雪の兄である伊月の恋人として現れたのが成尭。この設定や伊月が突然男性に恋をしたこと、および全体を通して伊月がとにかく可哀想であることなどから、好き嫌いは分かれそうです。成尭は誰かに一発殴ってもらいたい気がしますが、ただ吹雪や成尭の心情描写がとても上手で、苦しみや葛藤に自然と共感したりほろりとさせられて、私はよかったと思いました。ま、これも次作で伊月が幸せになることがわかっているからなのですが・・。あと、こういうこじれた再会ものは攻が受をレイプする展開が多いなか、この作品では成尭が怒りを見せるものの、吹雪を暴行したりなどはしないところも個人的にはよかったです。

町屋さんの描かれる肉体美がとても好きです。他のコミック同様、肉感的できれいな口絵を見たらそれだけで☆５。この本の後半には何年にもわたる大人同士の物語が入っているのでそこそこ読み応えもあります。ただ、そうしたベッドシーンがあるお話もいいですが、個人的には幼馴染み同士のストーリーがありましてそれが可愛くて気に入ってます。ベッドシーンはありませんが、この子たちのもっと大人になった後での甘いシーンが読みたいなと思いました。

たくさんの方がおっしゃってますから、今さらで申し訳ないんですが・・いいですよ！これ。前半の二人は色っぽくて哀しいなかに愛しさがあふれてます。敵役も良いキャラで救いがあるのもいい。そしてわかばママのストーリーは心打たれます。「神様　全部あの子にあげて・・」で泣きました。本当におすすめです。

表紙で敬遠してましたが、先のレビューの方が「甘々」で「まったり」するとおっしゃっていたので読んでみました。本当にそうでした（笑）。義理とはいえ兄弟なので、弟は多少自分の性癖や兄や両親のことを思ってグルグル悩みますし、受としてとても可愛いタイプ。ただ、この作品で特筆すべきは義兄の攻で、世間や親への迷いとか後ろめたさは終始一貫ゼロ。義理でも兄弟ものでは執着や病んだ部分の描写が多いのですが、そういうのがないのです。大好きな弟と過ごして、とにかく嬉しくて楽しくてしょうがない！という幸せいっぱいの彼がなんとも面白かったです。エロ方面では濃厚なので好き嫌いはあるかもしれませんが、多幸感溢れる二人の様子に、読後感はほっこりするという意味で癒されます。