Leeさんのレビューリスト　

正直こんなに泣ける話と思ってなかった。ハーレクインなのにギャグテイストな感じに惹かれて借りたけど、いい意味で裏切られました。特に一人っ子の女性にお勧めしたい作品だと思います。

密度の濃い一冊でした。一つ一つのお話が全部濃くて大満足です。表題作がいちばん好きです。いい意味で裏切られる展開で、そこで終わりかと思いきや結局続いてる二人がとても好きです。特にまさきさんがいいキャラしてます。そしていつも部屋では全裸(笑)身悶えしたのは自動車販売店の営業とメカニックの話。仲良くなったけど、恋愛対象として意識していたのは自分だけだと気がつく瞬間とか、読んでいる自分にも覚えがあって胸が苦しくなりました。また高見さんは付き合うまで肝心なことを言わないので、関さんが高見さんにかなり振り回されてる印象がありました。関さん非常に不憫。全体的に思いましたが、相変わらず切ないすれ違いを描くのが上手いなあと思います。今回はカップルに焦点をあてたお話が多いので、脇役というのはそんなに出てきませんが、「感情スペクトル」の仲屋くんがなんともいいひとで好きです(笑)絵的にグッときたのはツナギのジッパーを開ける所でした。ツナギ素晴らしい…ヨネダさんがお好きな方ならとても楽しめる内容だと思います。大人のゴツい男のすれ違いが読みたい方にもぜひ。

潮見さんと後輩との会話通り、「大人の青春」っていう感じの作品だと思います。何か大事件が起こるわけでもなく、オフ会をきっかけにブロガー同士が出会って付き合うまでのお話です。でもどこかで起こっていそうなリアルな感じがいいと思います。特に好きなのは、みやさんからの好意をなんとなく感じとっておきながら、逃げる余地ができるように自分からは動かない潮見さんの大人ならではの少し狡い所。でも最後にきちんと自分から告白しているのもよかったです。「三軒隣~」のスピンオフと知らずに読んだので、本編も読みたいと思います。この作家さんが好きな方にはもちろん、大人同士の少しビターなMLを読みたい方にお勧めします。

思春期の少女だけが持つ危うさ、刺々しさ、儚さを表現したみずみずしい作品集だと思います。この作品では、自分のなかの女や目の前の男といった生々しい性を意識しながらも、女だけの世界に浸るという独特の心情が描かれます。(表題作、雨の降る国)ネタバレになりますが、表題作で、いとこの女の子は男性を「異物」であるとして拒絶しています。それに影響されるように、主人公の女性も恋人の男性に対して不信感を抱くようになり、女の子の元に帰ります。また、雨の降る国の主人公も、友人の加代の元に戻ります。「異物」を嫌って逃げ込んだ女の子だけの世界は、必ずしもきれいだとは限らないと思います。しかし、それでも作品の女の子たちは、男性には手出しできないその世界に身を沈めていくのです。その危うさを感じたいという方にお勧めしたいと思います。