maiさんのレビューリスト　

前作の続き、今度は妹のほうのストーリーとして購入。お姉さん夫婦より、さらに深い傷を負っている二人の物語。とりわけヒーローの境遇はひどすぎる。ラブストーリーというより、深刻な社会問題として読んでしまった…。（こういうことは世界では、いや日本でも多い犯罪）でも一緒に乗り越えたいという決意を実行するヒロインの成長ががすごい。

古いマンガだけど、この導入のところ読み直して見たくなりました。ヤクザも戦争も大嫌いだけど、この漫画の設定はファンタジーですね。ちょっと水戸黄門のような。このあと延々と続く内容はだんだんファンタジーとは程遠くなるけど、男性からしたらこのあともファンタジーなのかねえ。

この作家さん好きです。この作品も随分昔に一度読んでいて懐かしくて購入しました。バサバサまつ毛、書き込まれた髪、背景までゴージャス。いかにもおとぎの国の漫画の画ですが、嫌味に感じないのはなんででしょうね。このストーリー自体はそんなに凝ってもいないよくあるロマンスだけど、読んでいると愛らしいヒロインの気持ちと同期してキュンとさせてくれます。深読みせずに楽しみましょう。

ハーレクインで泣いたのは初めてかも。作者さんがスキで、たどって見つけた作品。この作者さんは、絵柄的には私の好みではないのだけど、漫画として物語の作り方がなぜかとても心を優しくしてくれる。どんな原作でもそうなっているのはやはり漫画に描き直すときのこの作者さんの力なんでしょう。お話は、ありえない現実離れしたファンタジーだけど、つい本気で読んで泣けてしまうのは、ヒーローの心根の素晴らしさかな。辛い過去を経験して背負っているからこそか、成熟した精神と愛情を備えている。テキトーな金持ちでイケメンな男ではない。こんな人は男女関わらず現実にいるか分からないくらいいい人。そんな地に足のついた人間性を持ったヒーローだから、この有り得ないお話に引き込まれてしまったのかも。ヒロインは、この作品の場合ヒロインは二人いるとも言えるけど、どちらもふりかかってしまった不幸な運命に対して頑張って向き合った。自分のことだけでなく周りの人のことも思いやっていた。片方には幸せになっておめでとうとは言えないけど、良かったねとは言えるのかな。元気なヒロインの方も、たぶん描かれていないところでもきっと頑張った人生だったろう。せっかくのヒーローを、最後はもっと幸せにしてあげられるラストだと良かったけど、よくあるウェディングでハッピーエンドというのも似合わないので、これで良いんだよね。ちょっと物足りない気もするけど、たぶんこれがベストのエンディングだと思おう。有り得ないファンタジーの形を借りた深い人の心のお話だから。読み手も一つ心にやるせなさを背負いましょうか。

哀しみや傷を抱えたヒロインとヒーロー、でも表し方が全く違う二人。明るく強くあろうとするヒロインに対し、表面だけ強がっているだけのヒーロー。私ならこんなヒーローな願い下げだけど、ヒロインが優しくてヒーローは救われて、ホント彼女に感謝しなさいよね！といいたくなりました。子どもたちの活躍と周りの人達の温かみも後押し。星4つは素敵なヒロインに対してです。ハーレクインではなかなかご立派なヒーローが多いけど、現実にはこういう男の方が多いですよね。不安なくせに強がって、周囲に当たって不愉快にさせる。ちょっと素直になればいいのに。ヒーローの元妻の件は突っ込みにくい話ですが、そういうケース、今どきの欧米ではそんなに墓場まで持っていかねばならない秘密なのかなあ。そこは敬虔なクリスチャンかどうかとか宗派によっても違うのかもしれないので、背景としてはもっと勉強しないと日本人にはわからないのかもですね。

村田順子さんの絵柄が好きです。ただこのストーリーはいまひとつだったかな。無料部分のカメラを手にいきいきとしていたヒロインはとても良かったけど。ヒーローの心理がよくわからない。キーとなる浮気を疑われていた女性の暗躍があったとはいえ、離婚を突如覆すのに、それまで3年間もヒロイン放置ってありえないし。後半でもヒロインには泣いてばっかりでなくもっと活躍してほしかったな。

無料部分のヒロインの毅然とした姿がいいなと思って購入したのですけど、ヒーローがいまいちで、最後までうっとりできませんでした。画はいいのに、他の方のコメントにもありますが、服装がイマイチ。仮にもヒロインは美術に詳しいという設定なのだから、いくら貧しい生い立ちでもセンスの良い服を着せてあげて。それにしてもヒーローの良さはどこなんだろう？顔だけ？妹はヒロインの友人だけど、ヒーローのように捻くれたりしていないのに。男は弱いなあ。視野も狭いし。一人の継母のせいでこんなになるって、木を見て森を語ってる。責任転嫁だよなあ。

桜屋響さんは大好きです。安定した画力と校正で、安心して読める。でもこのストーリーは、うーん、もっと深く突っ込んで描いてほしい。ヒーローの指名と恋の間での苦悶とか（顔だけからじゃわからない）、ヒーローの弟の聖職者への思いとか（「本当の聖職者とは…」と語り始めようとする弟にもっと語らせたい！）。中心にいる二人の男性の心がもっと深く画かれていれば、最後のハッピーエンドも、もっとやっと手に入れた幸せ感が出たと思う。そこが残念。一方、ヒロインが自分のルーツ探しをしたがることや、ヒーローに惹かれても、彼のために気持ちを抑えようとするのは想定内だし、それ以外の道はないのでこれ以上の描きようはないかなと思うけど。この作品はヒーロー兄弟の心理をもっと書き込んだらもっといい物語になったろうなあ。とはいえ、作家さんの力でそこそこどきどきしたりハッピーな気持ちになれました。

思ったより物語がさらっと終わってしまいました。もっと山あり 谷ありでも良かったかなあ。それにしても、ヒロインにはとうしてあの不思議な力があるのか、全然謎解きされてなくてしこりがのこります。獣医でもなく、ただの調教師で馬の命に関わる脚の怪我を治すって、はっきり言ってエスパーです。

この作家さんもベティーニールズも好きなんだけど、ヒロインも健気で可愛いんだけど、ちょっとヒーローが気がききすぎてかっこよすぎるなあ。ベティーニールズ作品のヒーローの、カッコイイけどちょっと鈍感とか、ちょっとマイペース過ぎるとか、感情表現が苦手って言うマイナス面がないところが、他のベティー作品と違う。つまりヒーローが完璧すぎるー。まあ、こんなストーリーもありかな。大聖堂の詳しい由来とか説明があったら、ものがたりに奥行きが出たと思う。