角のとれた筆箱さんのレビューリスト　

主な登場人物は3人。それぞれの造形がしっかりしていて本当に上質なお話になっています。細かく言えば説明が足りない部分もあるのですが、枝葉末節なのでなくてもOK、というかこのシンプルさがこの作家さんの特徴かも。伝えたいことがはっきりしているからでしょうね。あらすじはハーレクインなのでわかりきっているのですが、作家さんの力量で飽きさせません。

ハーレクインのなかでも屈指の作品ではないかと。長い間絵柄が独特で食わず嫌いして読まなかったことを後悔しています。孤独なのはなぜなのか、孤独と思うのはなぜなのか、ということを考えさせてくれるお話です。無駄のない構成で一気に読めますが、それでも心にずっと残るそんな作品。一読をオススメします。

事情もきかないで決めつけ…はハーレクインの定番だけれど、いつも思うのはなぜにそんな傲慢ヒーローにヒロインが恋しちゃうの？ということ。自立していると思われる女性であっても、です。そこらへんがコメディとして受け取れれば何てことはないのでしょうけれど、こうも同じパターンを見せられるといくら著名な作家さんであってもあまり読み返したくはならない…

ハーレクインは全てハッピーエンド…なわけですが、それは誰にとってのもの？結局都合のよい女が結婚も子どもも手に入れるってことなのかと思わずにはいられないこのモヤモヤ感。そもそも論でハーレクインを読むのはストレス解消するためなので、矛盾や齟齬も笑って読み飛ばさないといけないのに、今回はなかなか笑えませんでした。レビューになっていなくてすみません。

ふと夜中に思い出して恐ろしさに布団に潜り込みたくなる、そんな味わいの作品。山岸作品は生涯忘れられないものばかりです。日本ならではの怖さが染み込んでいる感じというか。歳をとるほどに怖くて哀しくて味わい幾重にも。

レビューが高いので借りてみたのですが、まあまあ悪くないと思ったところ、終盤にきてたったひとつのセリフで台無し…ひとりっ子はわがまま、というのはあまりに安直。おそらく原作書かれた当時はそれがいわゆる常識ってやつだったのでしょう。でもいまは違います。コミックにするときになんとかならなかったのか。絵も子供は可愛いけれど大人は童顔に肉感的な胴体がアンバランスで気になってしまいました。個人的にはそこまでハートウォーミングにならず、同じような(子供が出てくる)内容なら他の作品をお勧めします。

誘拐された国王がどうなるのか、わかっていてもとりあえずエンディングを確認したくてレンタルしてみたものの、なんだかなあ…それはそのはず、なんで全員違う作家さんに描かせたのでしょう。理解不能。しかも最終章がこのコメディっぽい絵柄とは…とほほです。できれば尾形先生でまとめてもらえれば。ハーレクインあるあるですね。原作を日本語訳にするときも中学生みたいな日本語だったりしますし、コミック化に当たってもおもちゃみたいなこともありますしね。

ヒロインの心の動きがよく描かれていたと思います。ハーレクインあるあるの噂や作り話を信じこむヒーローやろくでなしの元夫、当て馬と思わせてそうではなかった登場人物などなど、ひとつのドラマとして楽しめました。しかし元夫はなにをしたかったのか、それは理解不能。

さくっと読めるファンタジーもの。でもお値段高い。内容の厚みとしてはハーレクインと同等なので、お値段も同額にしてほしいものです。読んで損はないけれど、読まずにいてもよかった。いきなり人間の血を摂取したとたんに姿が変わるとか(そんな微量でいいの？)、結局海の怪物たちとはどういう関係になったのか(牽制できるのか？)などなど、詰めが甘いのでマイナス査定です。絵はキレイ。

お得だったので借りてみたものの、お話に芯がないような、印象に残らない作品でした。残念。ヒーローの笑顔、眼瞼下垂なの？という感じで優しいとかカッコいいとか全く思えず、それがkeyになるべきところを逆に盛り下げてしまっている。面白みのない一作でした。