誰もが知る電話さんのレビューリスト　

恋人に浮気され見捨てられて命を落とし、異世界で王女に転生した主人公。急に周囲の人間の心の声が聞こえるようになったことで、前世の記憶が戻る前の王女は嫌われていた事を知るも、王女としての生活は自由もままならなくてーーあらすじを読んで面白そうだと思ったんですが、作り込みが荒く全く入っていけませんでした。主人公の性格も元は真面目で面白味のない人間だったので今回は自由にーのようなことを言ってますが、自由というか不誠実で怠惰で居丈高、楽天家かと思いきや急にネガティブになったりブレブレで、IT系の元社会人というより自分しか見えてない中高生にしか見えません。主人公が記憶を思い出すまでの王女はどういう人間だったのか、なぜ魔王と勇者と呼ばれているのか、戦いの背景、あらゆる事が納得できるだけの描写もなく不安定な気分になります。レジスタンスのことをレジスタントと表記したりする文章の稚拙さも相成って、携帯小説が出始めた頃の夢小説を読んでいる気分でした。果てはヒーローのお前を溺愛してやる、という言葉…タイトルや他人からの評価でもない溺愛自己申告はなんというか…自分で言う言葉なんか？それ…

母親の死の真相を探るために王太子の婚約者になった主人公が、地味で凡庸な人間を演じて婚約破棄に持ち込む話。そこから追放され準備していた森の小屋で暮らすわけだが、結果何したかったのかわからない話に。大して森に引きこもってもいなければスローライフを楽しむでもないし、最終巻にざまぁはあるものの虐げていた側の手のひら返しが早くあっさりしていてモヤモヤ。ヒーローとの恋愛もいつの間に惹かれあってたの君ら？というかんじで浅く何より肝心の母の死の真相やヒーローの仇の正体、竜王を封印した犯人と思惑、なぜ森に移り住んだかなどが全く解明されず宙ぶらりんに終わる。原作は続くそうなのでコミックは打ち切りなんでしょうか。全三巻ですが、なんか全体的にざまぁアンソロジーの一話を引き伸ばしたような薄口なお話でした。(伏線を回収してない分アンソロのほうが良いかもしれない…)

生者のまま冥界に入ってしまった主人公が、現世に帰るためにアヌビス(冥界の審判に携わるミイラ作りの神)の呪いを解こうとする話。少女漫画だと気持ちエジプト風作品になってしまいがちですが、作者さん自体がエジプト好きなのか？この作品は装飾や建物などが緻密できれいです。エジプト神話モノなので、色々な神々が出てくるだけで好きな人間にはたまらない。ストーリーは少女漫画らしく、主人公もまっすぐで芯のしっかりした少女なので、神話でのドロドロを感じさせないカラッとした感じなのもいいですね。

アニメを子供向けのものとバカにしていた昭和親父が、高校時代にタイムスリップしてアニメを作る側のセンスや熱量に触れ、自身も作る側にまわる話。作者自身が元プロのアニメーターという事もあり、中の人の仕事について楽しく知れることもこの作品の魅力だが、なにより昨今の作品にあまりない、読んでる人の心に温かく残るような何かを持っている作品。作者自身も言及しているが、昔を舞台にした作品に多い「昔はこんなによかった」という印象で終わらせたくなかったというのが、作中の「いつでも今が一番いい時代といえるように生きたい」というセリフに表れている。やたら日本の未来を卑下したり、環境への不満の原因を自分ではなく社会のせいにしがちな風潮の今だからこそ読みたい作品なのかもしれない。

魔王を倒した勇者が、その魔王の計らいで二千年後の未来に転生。けれど昔より魔法も剣術も衰退していて…？！完全に俺なんかやっちゃいました系チートモノです。こういう系は何も考えず読めるのが長所ですが、2話の時点で読み進めるのが苦痛になってきました。主人公を引き立たせるためモブに〜だと？！超高等〜じゃないか！みたいな反応させるのはよくあるんですが、ワ○ピースやコロコロコミックみたいな軽いノリで連発されるのでうすら寒い。作画も安定しないので急にガタイがよくなったりメタボやショタになったりする。そもそも魔王となんで戦ってたの？とか二千年経って魔力計測方法や数値の基準が変わらないとかあるか？とかサクサク進むわりにツッコミ所が多い。やってることは某アノス様なんですがこんなに差が出るもんなんですね。サンプルでこれどうなんだろう…と思った人はUターン推奨します。(一巻時点の評価です)

社会に揉まれ疲れた主人公の唯一の癒しは、夢の中だけ会える王子様。段々成長していく姿を見守っていたら、ある日そちらの世界へ転移していまい…大人になった王子様になぜか監禁！？主人公もしばらくの間ヒーローと夢の中で会って多少関係を深めていたので絆されるのもわからなくはないけれど、これはイケメン無罪というやつでは…でも監禁されてまるで人形のような可愛がられ方を見ていると…いや、イケメンでもナシ寄りのナシでは？ヒーローのどうせヒロインに愛されないなら…みたいな悲劇ぶった独白にいやいや、あんた夢の中も現実も好き勝手やってるやん！とツッコミたくなる。主人公も自己肯定感強いというわりに状況に終始流されまくるので少しモヤッとしました。この作者さんのシリーズ作(二度目の人生は〜、時間転移したら〜)が面白かった分期待が上がってしまったのもあるかもしれない。シリーズ作を読んでる人には、特に二度目の人生は〜のキャラが出てくるのでそれだけでも面白く感じるかもしれない。

心の声が聞こえるヒロインと、紳士然としているのに心の声がひどいヒーローのお話。個人的にはストーリーもハラハラしてあっという間に読んでしまいました。ヒロインがただ能力に流されるだけじゃなく頑張るのもよかったです。このレーベルにしては珍しくストーリー重視というか、読みごたえがあるお話なのでオススメ。エロは必須！というかメイン！という人には向かないかな。

主人公が親友に命を救われ、親友は命を落とす。それを後悔した主人公は享楽に浸っていた生活を改めて一生を過ごすも、死の先は親友の生きていた頃でーーーすれ違い時間遡行モノなんですが、作者さんの現在連載中の悪女モノの雰囲気が抜けきっておらず、最初シリアスだったのに急にギャグタッチになるのが違和感。悪女モノは連載なのでシリアスとギャグの塩梅がよく、中学生の作った世界に転生する話なので多少筋書きや設定がガタガタでも納得できますが、短編だと主人公がいきなりキャラのくだけたことをいったり画力をギャグタッチで誤魔化す所に残念ながら温度差を感じてしまい、筋書きの粗も感じました。一応まとまってはいますが、設定が短編に収まりづらい設定なので親友の気持ちも見えづらくギリBLという感じです。時間遡行モノや主人公の変化が好きな人には軽い読み物としてオススメですが、心理描写も含んだ恋愛模様をお求めの方には物足りないかも。

誰もが何かしらの加護を持って生まれる世界で、加護なしで生まれた令嬢(この世界をゲームとしてプレイした前世あり)が円満に婚約破棄されようと領地経営？する話。とにかくご都合主義かつストーリーも進んでるはずなのに味気ない。悪役令嬢、婚約破棄、チート、領地経営など最近の流行りを色々コピーしたら劣化して無味無臭になりました！みたいな作品。この原作者の作品は何作か読んでましたが、どの作品も恋愛過程がろくに描かれずの溺愛、頭が悪すぎてヘイトしか感じない薄っぺらい悪役など、いい加減底が見えてきたのでもう控えます…

余命半年と宣告され、一夜の関係を結んで逃げた主人公が、相手と再会してしまいーーー絵もきれいで、コマも読みやすい。ページ数としてはギュッとストーリーがまとまっているが、最後が駆け足すぎる…ハーレクイン系特有のものかもしれないけれども、想いが通じあうと同時にプロポーズ！結婚！リンゴーン！って早すぎない？子供名作劇場じゃないんだから。主人公は思い込み激しくかなりぬけてる性格だからいいとしても、ヒロインを財産目当てかと疑ったヒーローにしては直情的な行動というか、考えなしというか…え？そこは運命の恋だから？そうですか… （投稿名：誰もが知る電話）