作者買いですが、今までとは異なる独特の世界観。キャラは攻めのワタナベさんがあまり感情を表に出さない人外だとすると、受けのレオが直情型で真っ直ぐかつ素直な奴なのでなかなかいいCPかと。2人のエッチは番らしく本能的で切なく熱いけど色気には少し欠けるかな。軍の台頭と市民の武器装備時代到来など大団円の結末ではないけど、ヨアケの体から新薬が出来、クロ化を止めることが出来たため明るい未来が期待できる。ややあっけない問題解決と少し蛇足気味なレオの身体的変化の謎はあるけど十分楽しく読めた。最後のアオの雛達にワタナベが惚気ていた事が発覚したりソラをさりげなく牽制するワタナベにクスッとなって良い読後感。

世界観などの設定は詳細でとても凝っていて、ファンタジー好きな自分としてはかなり期待しながら読み進めました。目的地の描写も細かく、受け様との出会いもロマンチックでしたが、そっからが割と単調で退屈なストーリーで、毎晩攻めが受けの所にお忍びで通って、お互い惹かれ合い、最後はどちらも故郷を捨てる流れ。あまり葛藤もなく、なので切なさもそれほどでも無く、受けの寿命問題もかなり御都合主義的首飾り延命でとりあえずは何とかなりそうで良かったねと流し読み、それより2人の世界になっちゃってるけど、攻めの乳兄弟兼従者の雲海が振り回されて可哀想だなという、まさかのあまり盛り上がらない読後感。キャンペーン価格だったからまあいいかと思いますが、設定が凝っているだけに勿体ない。もうちょい塔に閉じ込められている健気な受けの絶世の美形なだけでない魅力を書いて欲しかったし、2人の間で色々あった末に絆深まるなど、薄っぺらで単調じゃないストーリー展開だったら良かったかな。

ケンカップルは好きですが、二股かける受けの元カノと寝とって孕ませておいて結婚式の近くまでいい出せなかったと言いつつ式にしれっと受けを招待する無神経な受けの元担当編集者兼親友がサイテーすぎて星マイナス1。親友がいくらいい奴だったと繰り返されても人としていい奴に思えない。せめて避妊ぐらいしっかりしろよとか、あらぬ方向に怒りが。受けが実は親友を好きだったと後から自覚する設定がなければまだ良かったのにとモヤモヤ。

幼馴染同士で刀鍛冶職人の攻めと箱入りの神社の跡取り息子のCPなのですが、それだけじゃない設定が面白い。攻めの見える能力と受けの正体。正体があれだけに思念を読み取れちゃう受けの能力絡みのやりとりなどが面白い。一途で忍耐強くちょっとむっつりで逞しい世話焼きオカン体質の攻めも、やる時は男前な単なる健気美人系でないツンデレ受けも好きです。ストーリーもしっかりしてて面白かった。攻めが本当に婿入りするのか楽しみ。

受けの清見はやんちゃでノンケの騎手で分かりやすい。対する攻めの馬主は最初から受けを狙っている腹黒執着系。経験豊富なようで一途っぽい感じでもあり、少しつかみきれなかった。ラクシュミは引退してしまったけれど、殺処分でなく、仕事もBLとしても一応ハピエンですが、まるで枕営業の様なエロを餌にラクシュミの騎手の権利を得る条件が嫌だったのと、個人的に当て馬の亮太の報われなさと後味の悪い別れに読後感微妙で星3評価で。

攻めのグレイはイギリス人で変わり者で分かりにくいけれどジュンを溺愛しているのが所々でうかがわれ面白い。普段無表情の癖に嬉しさのあまりトランポリンの様にジャンプしたり、犬の鼻面カプしたりとかわいい行動も見られます。受けのジュンは人たらしのキュート系ですが、射撃を含め実力はある意外に男前キャラ。エッチの時のグレイの言葉責めがちょっと変態チックでピントもずれててエロいというより笑えました。独特な雰囲気の文章と、ジュンのモブレが大丈夫なら楽しく読めるのでは。

うーん。あまりに受けが真実を言わず我慢しているのでイライラ溜まりながら完読。車のブレーキの細工では死んでておかしくないのにかばうし。他人の幸せを優先するタイプにしても限度を超えると嘘臭く感じて萌えず。反動で自虐的な行動と発言を繰り返すのも好みのキャラでなく残念。腹立つのはもちろん受けの義兄ですが、彼を虐待し追い詰めた義兄の実母、不倫して後に再婚した受けの実母と義兄と受けの父も大いに責任があるかと。最後は甘々ですが、6年遠回りして良かったとも思えず、読後感スッキリまでは言えません。

執事の無表情ながらも内心色々妄想していたむっつり具合と、来智の元気印なところが面白かった。来智の悪戯書きの執事似顔絵見てみたかった（笑）。できればこのCPで丸っと読みたかったので星マイナス１。当て馬だった侯爵様は典型的な王子ではない結構好きなキャラでしたが、相手がう〜ん。ショタも健気系も侯爵様とのカップリングとしてはピンとこなくて残念。お相手は男でも女でもがっちり濃いキャラの方が良かったな〜。

攻めは有能で尽くし系イケメンだが、いかんせん受けの坊ちゃんがアホ過ぎる。確かに環境には同情するが、見た目以外にいいところがない。親父狩りなど行動もクズだし、攻めに対する態度も悪すぎ。最後くらいはどんでん返しがあるかと思ったら家を出て攻めの家に転がり込んだだけ。結末もお粗末だったなあ。

表題作はヤンデレな攻めだけど、受けのおかげでマイルド化して、コミュニケーションで安心させれば根底には愛と受けを思いやる気持ちがあるので、箱庭の人形はびびったけど、思いの外読後感悪くないです。こっちだけなら星4でもいいかな。後半の大学生3Pが、、、。なぜ今回だけな、みたいに許容される？両想い発覚後の初セックスでありえないかなと。そこだけ違和感強く、切なくなりきれなかった。3P楽しめる軽いキャラ達でもないし。あぶれた1人が後悔するのは当然の流れでしょう。