くるっくさんのレビューリスト　

なんだかんだで面白いのですが、最初はあやめをめぐる三角関係だったはずなのになんかだんだんなんでこんなにホモくさくなってるんだ、というのと、割とずっと安定して女の嫌なところ全開の優奈の暴れっぷりにちょっと辟易もしました。

訳の分からない妙な同居生活からなんとなく何か起こりそうな得体のしれない雰囲気がビンビンに張り巡らされ、実際にアレコレ起きていく過程はなかなか良かったんですが、オチはイマイチ説得力が足りなさすぎて、設定もてあましちゃっのたか、それとも打ち切りなのか、それなりに楽しめたもののやっぱりちょっとガッカリなラストだったかなあ。

絵的に踊ってるときの手足の細さがちょっと気になるのですが、ストーリーは面白いです。タイプの違う天才、努力の人、キャラ一人一人みんなそれぞれ瑞々しくキラキラしていて引き込まれます。

ヒロインはじめヒーロー以外のキャラはみんな最高にいい。ただヒーローは微妙。うまいことポンコツと傲慢の両属性持ち合わせているせいでなんとなくいい感じに中和されてる気もするけど、待ち合わせに遅れてきて「俺に1時間待たされなかったことに感謝しろ」だの、自分が失敗したからといって弟の結婚頭ごなしに反対したり（事情聞いてみれば仕事にかまけて嫁ほっておいてお前にも非があるだろうが）、ヒロインに切れて出て行けと追い出したのに、次迎えに来たときはもう婚約パーティーセッティング済みでプロポーズする前に客前でサプライズ婚約発表とか、やっぱこんな男やだなあ。

ヒロインの人生が受難過ぎてびっくり。両親の救えなさもなかなかすさまじかったですが、何気にさらっとピューマとガラガラヘビ両方に噛まれるハーレクインヒロインとかレアすぎる。ヒーローはハーレクインによくいるなぜかヒロインの話を全く聞かない人であんまり好感度高くない。せっかくの軍隊帰りの設定なのに、身の危険の迫っているヒロインを助けるために精悍にかっこよく、的な活躍もさほどなく、隙あらば勝手に誤解してちょこちょこ何度もヒロイン罵倒するし。2巻に分けてクライムサスペンス的要素も盛り込まれてましたが、一冊でさらっとまとめてくれても問題なかった気もします。

未亡人と腹ペコ球児という組み合わせが本当絶妙。大和の食いっぷりは見ていて本当に気持ちいい。それに心揺さぶられ癒される未亡人かわいい。

なんかもうやくざとか漫画家とか関係なくこの二人根っこの相性が抜群にいいんだろうなあって読んでてすごく感じました。

途中掲載誌の休刊やら何やらで中断もあったりとやきもきもさせられましたが、終盤ショパンコンクールに入ってからの流れは本当にどこもかしこも素晴らしい。主人公のカイと雨宮の関係、カイと阿字野の関係、他のライバルたちも全員ただのライバルキャラというだけの存在でなく、一人ひとり丁寧にキャラが描きこまれていてみんな応援したい人ばかりでした。そしてラスト、まさかこういう結末に持ってくるとは、とびっくりしつつも大納得の感動をもらいました。本当に素晴らしい作品です。

何はなくともこれぞハーレクインというにふさわしい美麗な絵柄にうっとりしました。息子いい子すぎる。何なのこの子。あと息子の親友の空気読む力がすごい。両母が何気に心底悪人じゃないし自分の子供を愛しているものの、愛情と血のつながりがあるからこそ厄介、って典型でしたね。

何かヒーローのやることなすこといちいち唐突というか脈絡ないというかいきなり迫ったかと思えばすぐ次のシーンで冷たくしたり、また迫ってきたり、「これはこういう流れなんだろうな」ってこっちで脳内補完はできるものの、その辺説明不足な感じでストーリーがちょっと雑な印象でした。ヒーローと父親との確執もなんかふんわりしたまま、察してね、って感じに終わってるし。