グッフさんのレビューリスト　

これね、すごい作品ですよ。今まで、ペンフレンドとかメールとか、姿の見えない異性(姿が見えないから異性かどうかも分からないけど)と恋に落ちるなんてありえへんと思っていた私。ところが…、漫画で…姿の見えない…ましてや人でもない(？)…謎の物質に心を持って行かれました。これは、惚れます。凄く良い意味で、人は顔でも身体でも人間でもない(？)、魂に惚れるんだと思い知らされます。見た目がいいから、性別が違うから抱き合える。醜いから、同性だから気持ち悪い、愛せない。なんて、頑なに思っているほど読んで見ればいいんじゃないかな？相手に触れられる、声が聞こえる、温度が伝わる。こんな些細なことすら出来ない相手にも人は恋することができるんですから。冒頭で述べた通り、見た目が重要・至ってノーマルセクシャルな私が、｢のぼさん｣に強く強く共感してしまい、最後にはなんとも言えない…暖かな感涙でスマホを濡らしましたから。読み終わった今では、選り好みせずにBL も読んでみっかな？って、思わされてます。(かなり大袈裟ですが)私の予想は7割の人が間違いなく泣けます、泣かなかったとしても何かで心が満たされます。その何かを知るために5000円程度(全8巻買い)の散財は安いと私は思いますけどね？

血の繋がった近親間での恋愛を見事に美化している作品。異性の兄弟がいる人（私もいる）には受け入れられないお題の作品ですが、育った環境の設定が上手いのと、理性的で倫理感のある兄が近親愛に対して激しい背徳感・葛藤を持っているので、読めてしまいました。人を愛することに理屈はいらないと気付かせてくれる妹。すべてのものを捨ててまで愛するものを守ろうとする兄。まさに純愛・激愛です。身を焦がすような恋愛がお好みの人は、兄弟がいたとしても気持ち悪がらずに一読してみて下さい。価値感が変わるかも知れないですよ。

面白いよ、これ。ほのぼの青春ティーンラブコメからのサスペンスホラー、胸キュン萌シーンからのサイコなグロ、感情を良い意味で痛いほど鷲掴みながら、読者を眩しい青春の日々と救いようのない闇へ交互に連れて行ってくれます。丁寧に張り巡らされた幾重もの伏線を回収しながら、真実へと引き込まれる感覚は一級のSFミステリー、美麗な画力で映しだすヒロインとの恋模様もこれまた一級。一言でいうと極上サスペンスホラー・ラブファンタジーです。一読の価値はあるかもね？