レビュー一覧

前半の日記部分がメインで、後半の紀行文はほぼ割愛された構成です。一冊にまとめるため分かりやすくテンポよいお話になっています。しかし、ヒロイン・二条。結局は男にひたすら流され孕みまくる、いささか情けないあまり知性の感じられない女性としての性格が、全編通してクローズアップされています。主人の院の取巻き女性陣を悪し様にバカにしたり（衣装がダサい、いいなりにすぐ押し倒されてバカじゃないの、等）、女楽の企画で「何で私が最下位役よ！？」とムッとした挙げ句席次をもめていきなり出奔したり、長年の主人の正妻に御所退出を命じられたり（よっぽど何かやらかさなきゃあり得ない）…といった原作の、教養あり我が強い強烈な人物像が見事にしんでいる気がして残念です。

読みやすい作品に仕上がっていますが、この1冊に物語を押し込むのは少し無理があるかも。手短にストーリーが進んでいくため、各エピソードや登場人物の描写がところどころ唐突で、読後に物足りない感じがしました。

鎌倉中期に在位した後深草院の女房である二条が、自らの半生を書き綴った日記『とわずがたり』を、わかりやすく漫画化したものとして読むと、興味深く、面白いと思います。宮中御所内の恋愛事情は、武士の政権・鎌倉時代となっても、源氏物語に代表される平安雅時代の如く、おおらかだったんですね。そのおおらかさの裏にある、男性の庇護の下、男性の気分次第で、持ち上げられたり、ポイ捨てされたりと、翻弄され続ける「女＝物」の愛と悲しみ。二条の生き方は、当時の女性が置かれていた立場や状況そのものが表されているという感じでした。一見、寛容な振る舞いに見える後深草院のエゴイストっぷり、高僧・阿闍梨の自らの欲望をコントロール出来ない俗物っぷり。そして、どんなに抗っても「選ぶのは男、選ばれるのは女」。そんな恋愛の図式に、わたしの心は釈然としないまま（その分、☆−１減点）…二条という女性の生き方日記を読み終えました。

時代を超えて何かを考えさせられる名作と思います。性別、身分、立場、職業に関係なく、自分の思うように生きられないもどかしさや、大切な人と心を通わせられない辛さが伝わってきます。原作の現代語訳も読んでみたくなります。

登場人物の誰にも魅力がなく共感できない。ストーリーも深みがなく期限つきでも損をした気分になった。残念です。

展開が早いのはいいですが、あまり心情には共感できないです。とはずがたりのあらすじを知りたければ役立ちます。

流されてるなぁ。現代からすると、そう思ってしまう。彼女の選択に「No!」はない。権力を持つ男たち。御所様の歪んだ愛情。いわゆる貴族たちは他にやる事ないのか？暇だからこんな事ばっかりしてるのか。しかしこの二条（主役、作者）の魅力は美しさ以外は何なのか？そこが描かれていないような。流されるしかない女性たち。哀しい。

さすが、いがらし先生だけあって可愛く描かれています。当時の男女の関係が分かりやすくなっています。

平安時代は女性がおもちゃのように男にあてがわれて気の毒な気がしました。

とてもわかりやすく読みやすく感情が心の中に入ってきた。最後まで是非読んで欲しい作品。この作品を先生が手がけてくださって感謝しかありません。