レビュー一覧

言葉足らず＆旦那さんが抱える秘密ですれ違いからの仲直りでラブラブというこの手の話の内容としてはよくある感じです。が、この旦那さんの秘密というのが少々厄介で愛玩人形をいい歳こいた今でも持っているというもの。人の趣味はそれぞれなのでそこは別に気にしない…と言いたいところですが、どうも旦那さんが奥さんを人間として見ている気がしません。“最愛の妻”と言いながらどこを好きになったのかがわからない。描写されてない気がします。褒めるのは専ら人形っぽい容姿（あと確か幼い顔立ちに似合わない豊満な胸）。奥さんの人柄にも惹かれていたのなら人形の趣味も微笑ましいけど、彼女の人形的な部分のみを追い求めているようにしか感じられない描写にドン引きしてしまいました。こんなに感情移入できない作品は初めてです。48時間で充分。

作者さん買い！です。この作者さんのお話は、時に切なく時にくすっと笑えて、ヒーローのヒロインへの愛情が感じられます。今回の作品も、武骨な近衛騎士隊長であるヒーローのランヴァルトのヒロインへの愛がたっぷり感じられました。小柄で華奢なヒロインを壊してはいけないと思い、初夜でも一線を越えるのを我慢しているのですが、あのあと、きっとこっそり自己処理してなんだろうなぁと思うと胸が痛みました(笑)またヒーローは人形を愛玩しているのですが、その理由がとても素敵です。きっと亡くなった幼い妹さんをすごく愛していたんだろうな。そして、ヒーローの秘密が発覚した後、ヒロインはヒーローの想いをくみ取って、人形を自分の部屋に運ぶのですが、それも相手を思いやっていてとても素敵です。最後の湖のシーンでは、ヒーローの心の過去の贖罪が昇華され、すごく感動的でした。言葉が少ない武骨なヒーローですが、根底にはヒロインの愛情がたっぷりと感じられました。すごく読後感が良く、また読み返したいと思います。