ときは明治。横浜の町は各国から人々が集まり、欧米文化の華やぎと活気に満ちていた。色町では異国の客を招く店もあり、染田屋松風楼もそのひとつ。混血の娼妓の子で染田屋で働く少年・夕美(ゆうみ)は、若主人の亨(とおる)に命じられ客を取っていた。あるとき店を訪れた英国人の客・ヘディングは、夕美を優しく慈しむ。亨は夕美に辛く当たるばかりだが、夕美とヘディングの様子がなぜか苦々しく、やがて心の奥にある感情に気づいていく。そして夕美の秘めた想いの行方は――。
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