故郷を離れて街で孤独に暮らすクリスティのもとに、ある日、差し出し人不明の薔薇の花と手紙が届いた。まったく心当たりがなく、気味の悪さすら覚える。その後も、見えない相手の行動はしだいにエスカレートしていき、眠れぬ夜が続いた。たまらず警察に通報するが、駆けつけた刑事を見て思わず息をのんだ。そこには、彼女が初めて恋に落ちて破れたスコットの精悍な姿があった……。運命的な再会劇から始まる『危険な薔薇』と、悪の魔手から逃れようともがくふたりの絆を描いた『溺れた人魚』、ロマンティック・サスペンス2編を収録！

＊本書に収録されている「危険な薔薇」は、既に配信されている作品と同作品となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

■バハニア王国の掟――王女の純潔を奪った者は死刑。

■平凡な容姿で自分に自信が持てず、おまけに二十八歳でバージン。そんなザーラに突然、人生の転機が訪れた。バハニア国王の娘だと判明し、宮殿で暮らすことになったのだ。さっそく娘を溺愛し始めた国王がボディガードに任命したのは、青い瞳のアメリカ人で、シークの称号を持つレイフだった。彼は不慣れな宮殿での生活に戸惑うザーラを見守り、しかも、欲望と賞賛に満ちたまなざしで見つめてくる。どうして私なんかを？　そう思いながらも、彼に対するザーラの気持ちは日増しに強くなっていった。娘にふさわしい花婿探しに奔走する国王の知るところとなれば恐ろしい結果を招くことも知らずに、ザーラはレイフにバージンを捧げる決意をひそかに固めた。

■スーザン・マレリーの大好評を博したミニシリーズ『アラビアン・ロマンス』の続編『アラビアン・ロマンス：バハニア王国編』の第二話です。ヒロインのザーラは、前作に登場したサブリナに瓜二つの腹違いの姉です。前途多難なシンデレラストーリーの行方は？

家事代行業を営むグウェンは、プレイボーイと評判の顧客ゼインから、彼の恋人のふりをして親族の結婚式に出席してほしいと頼まれた。結婚しろと口うるさく言う親戚たちの目を欺くためだという。二千ドルの報酬にそそられて引き受けたものの、一緒に過ごすうち、グウェンはすっかりゼインに心を奪われる。いいえ、だめ。ゼインと私の生活は天と地ほどもかけ離れているのよ。それに、私には決して彼には話せない秘密がある。そう自分に言い聞かせたが、彼に抱きすくめられ、キスをされると、グウェンの体は喜びに震えた。次のデートに誘うゼインの声がぼんやりと頭のなかでこだました。

■『富豪一族の伝説』の第十二話。あまりにも身分の違うゼインと恋に落ちてしまい、とまどうグウェン。彼の優しさに徐々に心を開いていきますが、二人の間にはある障害があり……。

■官能的なボレロに誘われて、サムは踊った。月の光を浴びた妖精と。
■エメラルドグリーンの海、風にそよぐ椰子の木。ジャマイカのホテルのダンスフロアで、ニューヨーク市警の刑事サム・オショーネシーはスロー・ダンスを踊っていた。腕の中にいる女性の名前はリサ。離婚の痛手を癒しにこの島にやってきたという。ところが、空港から乗ったタクシーが故障してしまい、困り果てていた彼女を、偶然通りかかったサムがこのホテルまで送ってきたのだ。月の光を浴びた妖精のようなリサに、サムは心を引かれた。麻薬王を追ってここまで来たのだから、女性にうつつをぬかしている場合ではないのに……。ところが、地元の警察からの情報では、リサがその麻薬組織とつながりがあるかもしれないという。このブロンドの小柄な女性は、囮なのか？

■フロリダの青い海で、ヨットと小船は嵐に遭った。小さな島にたどり着いたとき、恋が始まる――。
■陽気で、いつも元気なレベル・マッケイドは、フロリダ・キーズの小島にある、小さな船宿の娘だった。幼いころから父親に船の乗り方を教わり、釣船の乗組員と宿の食事係として働いている。ある日、レベルは、犬を連れて小さな船に乗り、ひとりで海に出ていた。ところが、天候が急に悪化し、嵐のなかでエンジンが故障してしまう。そのとき、降りつける雨の向こうから一艘のヨットが近づいてきた。二本マストの大型ヨットだ――きっと、タオルも食料もふんだんにあるに違いない。助け船とはこのことだわ！　レベルはさっそく救助を求め、ヨットに乗り移った。そこで出会ったのは、なぜかいつも苦虫をかみつぶしたような顔の、ジョシュ・オールデンという北部の名門の出の男性だった。レベルは、ハンサムでまじめな彼にひそかに心惹かれるが、彼は寝る間も惜しんで、父親から受け継いだ事業に熱中する仕事中毒。海で自由な生活を満喫している彼女とは、正反対の相手だった……。

旅行代理店を営むマンディに、ある朝1本の電話がかかる。相手は今をときめく実業界の大物であり、新聞の社交欄をつねに賑わすプレイボーイのコナーだった。彼は近々モロッコで開催予定のビジネス会議の手配を、すべてマンディに頼みたいというのだ。転がりこんできた幸運に興奮するマンディだったが、打ち合わせで初めてコナーと対面するや、不安にかられた。信じられないほどのハンサムな容姿と圧倒的な存在感──彼に同行して1週間も過ごすなんて、本当に私にできるの？

新聞社で働くイライザは行方不明中の王子生存の手かがりを持って、地中海に浮かぶ美しい島国モンテベロ王国へ向かった。無事国王に情報を伝えたものの、まだ安心はできない。王子の捜索をしていた王室情報局長のロレンツォ公爵がイライザを信用せず、嘘つき呼ばわりするのだ。一方的な公爵の侮辱に、イライザの怒りは頂点に達した。だが怒りもつかの間、彼女は国王のとんでもない命令に唖然とする。ロレンツォ公爵と二人で王子の捜索をせよ、ですって？　横柄なうえに、プレイボーイで名高い公爵と旅をするなんて……。捜索の旅が始まると、彼女の不安はさらにつのった。はたして、私は公爵の魅力に屈せずにいられるのだろうか。

警察学校生のアシュリーは旅行中に凄惨な交通事故を目撃する。瀕死の被害者は、なんと幼なじみのステュアートだった。警察は彼を麻薬中毒と断定したが、真面目な彼に限ってそんなはずはない。近ごろ彼が極秘情報をつかんだというカルト教団の仕業なのでは？　必死の訴えに耳を貸さない組織に業を煮やし、アシュリーは自力で捜査に乗り出す事故当日に最悪の出会いを果たした、憎らしいほど魅力的なジェイクと共に。H・グレアムの傑作サスペンス。