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「夫人利生記」は日本の小説家泉鏡花による作品。明治後期から昭和初期にかけて活躍した。小説の他に戯曲や俳句も手がけた。本名、鏡太郎。金沢市下新町生れ。尾崎紅葉に師事した。『夜行巡査』『外科室』で評価を得、『高野聖』で人気作家になる。
春、先生に恋をした。でも私は不器用だから…。夏、ずっとひとりで頑張ってきた。そんな私に「頼っていいよ」と言ってくれたのは…。秋、芸能人とひとつ屋根の下で…!? 冬、家に帰りたくない。独りだった私を見つけてくれたのは駅員さんだった。四季それぞれの恋を丁寧に描く至極の短編集。 【収録作品】おバカな私の おかしな愛し方/ナントカのはじまりのキス/瞬間的エンドロール/黄金のリンゴ/雪夜行/トケナイ距離/かく恋慕
一七歳、秋のはじめ――
部屋は四畳、明窓の障子の向こうには二畳ばかりの池がある。
何百年もの古邸であるから、鼠だらけ、埃だらけ、草だらけ。
塾生と教師家族が住んでいる。
その夜は、塾で禁止されている小説をひっそりと読んでいた。
すると、障子の向こうでぱらぱら……と音がした。
耳を澄ますと、連続した調子で、ぱらぱら……
四五日後、風の黄昏時。家内には他に誰もいなかった。
惡寒のために床に就いていると、枕元でばたばた……と音がする。
頭を上げたが、誰が来たのでもなかった。
しばらくするとふたたび、しとしと……しとしと……
堪えられずに起き上がり、次の間、広間へと出た。
ほっと息をつき振り返ると、部屋の敷居をまたいで、
薄紅のぼやけた絹に搦まって、蒼白い女の脚ばかりが歩行いて来た。
■著者プロフィール
泉 鏡花(いずみ きょうか)
1873年11月4日 − 1939年9月7日。金沢市下新町生れ。
本名は鏡太郎。明治から昭和にかけて活躍した小説家。
尾崎紅葉に師事した。「夜行巡査」「外科室」で評価を得、「高野聖」で人気作家になる。
江戸文芸の影響を深くうけた怪奇趣味と特有のロマンティシズムで知られる。また近代における幻想文学の先駆者としても評価される。
作品に「照葉狂言」「婦系図」「歌行燈」「夜叉ヶ池」「海神別荘」などがある。
※このコンテンツは音声のみの作品です。本文のテキストは含まれませんので、ご了承下さい。
また、必ずご購入前に再生可能か無料サンプルでお試し下さい。
無料サンプルを再生できない場合は、大変申し訳ありませんがご購入をお控え下さい。
部屋は四畳、明窓の障子の向こうには二畳ばかりの池がある。
何百年もの古邸であるから、鼠だらけ、埃だらけ、草だらけ。
塾生と教師家族が住んでいる。
その夜は、塾で禁止されている小説をひっそりと読んでいた。
すると、障子の向こうでぱらぱら……と音がした。
耳を澄ますと、連続した調子で、ぱらぱら……
四五日後、風の黄昏時。家内には他に誰もいなかった。
惡寒のために床に就いていると、枕元でばたばた……と音がする。
頭を上げたが、誰が来たのでもなかった。
しばらくするとふたたび、しとしと……しとしと……
堪えられずに起き上がり、次の間、広間へと出た。
ほっと息をつき振り返ると、部屋の敷居をまたいで、
薄紅のぼやけた絹に搦まって、蒼白い女の脚ばかりが歩行いて来た。
■著者プロフィール
泉 鏡花(いずみ きょうか)
1873年11月4日 − 1939年9月7日。金沢市下新町生れ。
本名は鏡太郎。明治から昭和にかけて活躍した小説家。
尾崎紅葉に師事した。「夜行巡査」「外科室」で評価を得、「高野聖」で人気作家になる。
江戸文芸の影響を深くうけた怪奇趣味と特有のロマンティシズムで知られる。また近代における幻想文学の先駆者としても評価される。
作品に「照葉狂言」「婦系図」「歌行燈」「夜叉ヶ池」「海神別荘」などがある。
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