見晴らしガ丘にて

近藤ようこさんの作品、すべて読んだわけではありませんが、とても好きです。この作品集にもしみじみとした懐かしい味わいがあって、静かに人生と人間を愛おしむ気持ちになります。お勧めします。

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東京近郊が田舎だった頃、バブルが始まる前のちょっと昭和の雰囲気が残る時代の、日本の色んな世代の人間群像のオムニバスです。どれも大きな出来事はないけど、リアルな人生のちょっとユーモラスな場面や切ない場面などを切りとっていて、人の人生を覗き見たようなワクワク感がありました。なつめやのお話と改心という不思議な関係の老婆たちのお話が好きです。30年後の続編が出ているので、そちらも併せて読むとより面白いです。

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短編それぞれ方向性の違うエピソードでありながら、人生の喜びと哀しみが淡々と展開していきます。余韻を感じます。

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近藤ようこさんの電書が出ていたのですね！嬉しいです。この漫画の文庫本版はもっていて、そちらは「ご相談」までの収録だったので、下巻だけ購入しました(文庫本版に掲載があった「付・耳飾り」は電書版には載らなかったのですね、残念です)。どの話も印象深く甲乙付け難いですが感想を。「なつめ屋主人」ロマンチックでとても好きな話です。「かわいいひと」は、今や溢れるドSの概念創作先取りしていたのかと思ったり。あんなクソ男が確かにS目線だとかわいらしく感じる不思議。「プレゼント」、話の最後の彼女の行動、今の時代だとああいう有様を自撮りSNSアップして自己欺瞞に持っていけるから、ある意味いい世の中になったのでしょうか。彼女のようにシニカルな人はそもそも自撮りアップとかしてマウントや妙な自己主張しなそうではありますが…「ロマンス」勘弁して下さい、近藤さんの描くオールドミス像がいつも割と容赦無いです。キヨコさんに当てはまる所あって辛い(笑)自分はこれからもTL漫画・小説愛読し続けますよ！！「野守は見ずや」「誠実」近藤さんの不倫系の話はそれこそ容赦無い残酷さがあって、読み終えたあとの悪寒や虚しさ、寂寥感が何とも言えない余韻を残します。でも、そういった辛口の話も、テーマに対し作者個人としての好悪や贔屓・解釈的なもの・嗜好や陶酔感が排除されているような、徹底して俯瞰した目線で描かれている感じがあるので、読みやすく、読み返しやすい魅力があります。こちらの続編があるみたいなので、早速購入したいと思います！

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この世界に暮らしているごく普通の人たちの幾つもの日常を切り取った、素晴らしい作品集です。そのどれもに登場人物の感情がキラリと光っていて、さながらいつまでも眺めていたい宝石みたい。漫画だけれど、活字の大地と地続きになっていると感じます。それも、今人気のキャラクター文芸だのラノベだのではなく、ずっと昔から日本人が慈しんできた豊かな文学の大地に。／●人が生きていく時、すっきり答えの出ることなんて少ないです。いつまでも悩んだり迷ったり、寄り道したり、納得できないまま月日が流れたり……。そんな誰もが抱えている人生の余韻みたいなものを、じんわりと味わえます。ページを閉じた時、きっと心の奥に何かしら言葉にしがたいものが残るはず。／●近藤先生は、あの「うるせいやつら」の高橋留美子先生と中学か高校のクラスメートで、一緒に漫画サークルを立ち上げた──というような話を聞いたことがあります。お二人は全然作風が違いますね。だけど私は高橋先生の描かれる世界の方は自分には合わなくて、どれも途中で読まなくなってしまいましたが、近藤先生の方は大好きで、新しいものが世に出るとなんでも手に取ってみたくなります。これからも楽しみにしています。

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