チョコレート密度

大好きな作品。執着攻め。シリーズ本編で脇役として出たタチキャラがスピンオフでネコになるという時点でツボ確定。夢も目標もなく資産家のお家のお坊ちゃんで過去のトラウマで恋愛を忌避している受けが、才能あるアーティスト攻めに強く惹かれる気持ち、理解できる。実母に置いていかれ、後妻に収まった父の浮気相手に粉をかけられ、父からはただ甘やかされ……そんな中で怠惰に生きる自分を叱って痛い正論突きつけてくる年上に出会って安心するなんて、随分Mな子。シャープなイケメンだけど健気で可愛らしい。攻めは攻めで傍若無人ぷりが度を超えてて、いっそ清々しい。アーティストという括りでも手に負えないほどの癖のある性格で、熱烈なファンとアンチが両方いそうな極端なキャラクター。のらりくらりと生きてきた受けがアクの強い年上に絡め取られて恋愛にハマっていく様が最高。攻めにしても、言葉では茶化したり酷いこと言ったり突き放したりしながらも地文でやたらと受けにキスしたり頭撫でたり抱き寄せたり……とスキンシップの描写が多く、身体の関係を持つ前から特別扱いしているような態度も取ってるので徹頭徹尾かなり気に入っていることが伺えて、読んでる側からすると執着と可愛がり具合が顕著で良い。ただ受けには伝わらずに起こるすれ違いと追いかけっこがもどかしく、その上で逃さず追ってくる攻めの手腕と逃げたいけど逃げたくないでも逃げたい受けの葛藤がさらに最高。大学に行く以外はまっすぐ自分ちに帰ってこさせて居酒屋に同級生と飲みに行くのもだめとはかなりの執着ぶり。おまけに攻めが家に居る期間はほぼ毎日抱かれているとは……。終盤、ちょっとした諍いで二人の関係における受けの内実的な優位性も垣間見えて良かった。攻めの強烈なキャラクターや最初の無理矢理な性交描写など人によって好悪が極端に別れる部分はあれど、個人的どれも最高ドンピシャ作品でした。なによりも攻めのペットのコーギーが可愛いし名付けセンスが天才。

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