mickyさんのレビューリスト　

戸田さんの物語は、戸田さんのネットで配信されていた時から読んでいました。ベースとなるストーリーに、ぴりりとスパイスのきいたテイストがたっぷり織り込まれていて何度読みなおしても飽きません。とても久しぶりに新作を読ませていただきましたが、ハッピーエンドがたくさんあり、しかも人間の欲望と葛藤をうまく練りこませてありとておもしろかったです。でも、できればひとつひとつの物語が長ければいいなと思ったりもします。最後の【大ともし山】は、読んでいる方も、女性の奇行に恐怖を感じましたが、色眼鏡で見ない町で華やかな仕事をする女性に一喝されて、もう一度、惚れた女性に会いに行くのはちょっと感動。いまどき、ここまでする人がいたら絶対、ストーカーとか言われちゃう。でも、これぐらい熱い思いがある人がいてもいいかなって。【幽霊飴】も、なんだか人のいい人間が幽霊や死体を恐れずに、幽霊の気持ちと残していった「もの」への優しい気持ちが心地よいお話でした。全体的に【安心】して読めます。とげとげした世知辛い世の中に疲れちゃっている人、100円なのでだまされたと思って読んでくださ〜い(^^)

めっちゃ、よかったです。素直な二人のラブリーな関係。駆け引きもなく、二人の会話やしぐさがかわいすぎっ！！それに無口で心やさしいマスター、新しく出来た女の子のお友達。それに「言えるようになったらいってね」って、言うお母さん。ちょっとした会話に笑いながらうるうるしちゃいます。まずは無料のうちに一度、読んでみてください。

詩のようにゆっくりと流れていゆく物語。特に個性とか強いものを感じないのに、読んでいる私の心を捕えてゆきました。「１９９６年の夏休み」隣人であっても殺伐としたこの世界に、まったく知らない女性同士が一人の男性に導かれて一緒に数日を過ごすのですが、まるで昔からの友人？いいえ、家族のように言葉を交わし思いやりをかけあう・・・なんだか、不思議で優しくて安心できる物語でした。「バスルームの寓話」傷心の女性の心理状態と背中合わせのリアルな空気は緊迫感の中に、もし自分が本当に好きな人に「他に好きな人がいる」から別れようと言われたら・・・。こんな狂気に染まってしまうのかな・・・？と不安になってしまう内容でした。「夏草子」一番、好きな物語。よくあるファンタジーなのですが、なんだかうるうるしてしまいました。この作者の優しいタッチと登場人物の切なげな表情や鳴き声に心を奪われてしまった1冊でした。