レビュー一覧

原作未読のため今後どうなるのかは全くわかりませんが、躍動感のある絵柄と史実をもとにしているストーリーに一気に引き込まれました。古代史に興味のある方おすすめです！

三蔵玄奘と天竺の話がリアルで面白かったです。

十年くらいかけて完結した、荒野に獣、慟哭すに続く伊藤勢の連載作品です。荒野の中でちらりと「T中Y樹先生にもタカって……」と言われていた通り、実際に田中芳樹作品をコミカライズすることとなりました。本作は伊藤勢の得意分野である、中央アジアの空気感が存分に描かれています。あの辺は土地勘があって描きやすい等と豪語できる漫画家が、他にいるでしょうか。また、伊藤勢は、登場キャラクターに必ずと言って良いほど、他作品のスター・システムキャラを使うのですが、本作主人公の王玄索は、各作品で必ず重要な役割を当てられる、トリックスター的な怪しいおぢさん（別作品では、宮本武蔵、リザードマンの王、薬師丸宝山といったその作品における最強無敵キャラ）が当てられています。資料が少なく、人となりを掴むにも大分苦労したと見られる王玄索ですが、この配役が功を奏して、田中芳樹の作り上げたキャラを踏襲しつつも新たな魅力を感じるキャラクターへと仕上がっています。作者曰く、外交山師。また、原作では、やや独特なキャラをしているというだけのキャラであるラトナ将軍を「史料に女と明記されていないから」という理由で女将軍にしています。ズルイ！ラトナ将軍はモンコレのカッシェ、荒野の摩耶といった伊藤勢作品によく見られるヒロインの容姿で描かれており、荒野の終盤における悲劇から本作ではどのような結末を辿るのかヒヤヒヤでしたが、無事生を全うできたようです。ふう。兎に角中国、インド、チベット、ネパール辺りの独特な風俗、政治と外交の駆け引き、単純なキャラの掛け合いやド派手なアクション、全てが高レベルに、しかも全六巻と短めに纏まっています。

歴史ファンタジーの傑作です。西遊記と同じ頃、強く逞しい唐の役人がいた。

ストーリーも絵柄も壮大で活気があって勢いがある。往々にしてこのように勢いがある作品は絵が粗くなる傾向があるが、この作品は勢いがあっても絵柄は丁寧で素晴らしい。ストーリーは史実に基づいているらしいが、私は全く主人公のことを知らなかった。歴史的資料が乏しいらしいが、逆に作者が自由に想像力を羽ばたかせて、壮大なストーリーを描き出すことができたといえる。

とても壮大で迫力のあるストーリーで気に入りました。