レビュー一覧

とても素敵なお話でした！人間×獣人の3カップル(お互いにつながりあり)それぞれの恋模様です。繊細でじわじわと伝わってくるものがありました。背中に羽がある主人公は「うつぶせにしか寝れない」「服はすべて背中の羽の下からファスナー開閉のついた特別仕様」だし、猫の獣人は「人間より耳がよくて小声の陰口まで聞こえてしまう」「緑や青色はわかるけど赤系はモノクロにしか見えない」などの描写がリアルで、「生きづらさ」を抱えながらひたむきに好きになっていくところが良かったです。

朝丘戻先生の他の作品（「秋色」、「坂道〜」、「窓辺〜」）に比べて、レビュー数が多くなかったので、「これは書かねば」と思い、レビューしました。獣人と人間の混在する世界で、羽のある高校生（受）と、人間の先生（攻）の物語を軸に、何組かのカップルが登場します。いずれも同じ高校を卒業し、受か攻のどちらかが獣人という設定です。私的には、朝丘先生は、徹底的に想像して作った世界観の小説の方が、純文学的な言葉の選択が多い先生にはあっているように思いました。主人公たちが、私たちと同じ社会を生きる「秋色」も「坂道」もよかったけど、こんな高校男子はいないだろと、何度、思ったことか。それに対して、「サヨナラ・リアル」は、完全なる想像の社会ですから、主人公が何しようと（乙女だろうと、有り得ないセリフをはこうと）、全部、受け入れられました。そのタイトルも「サヨナラ・リアル」ですからね。私は、小説（フィクション）を読むとき、フィクションなのにリアルさがないと話の中に入っていけません。だからといって、完全なるノンフィクションＢＬ小説なんて、読みたかねーです。この「サヨナラ・リアル」は、その加減がちょうどいい。私にとっては、とてもバランスのいい作品でした。

この方の作品がとにかく好きです。こちらは少し毛色が変わっていて、獣人のお話ですが、いつもながら感動して読めました。

まず表紙とイラストが美しいです。そしてストーリーも痛くて甘酸っぱくて美しかった。３組のお話から成り立っているんですが、大人組はそれぞれが目の前のことで精一杯で、まるで学校が世界の全てであるかのような学生時代を駆け抜けて今、生徒である主人公？の悩みや恋を微笑ましくももどかしく思いながら見守るという構成が、そこから離れて随分と経った身にも入りやすかったように思いました。たぶん忘れた頃にまた読んだら、またこんな甘酸っぱい気持ちになるんだろうな、そんな気がします。

良い作品だと思います。ただ、ミステリアスに話は進んでいくのですが穏やかですね。だからでしょうか、少しだけ「え、こんな感じで終わりなの？」て思ってしまいました。

ほんとのBLって、こうやって進んでいくんじゃないかと思わせてくれる作品。激しいエロもなくゆっくり進んでいく感じですが、その分丁寧に心の描写がされていて、読んでいてほっこりします。他の作品にありがちな家族に紹介したりカムアウトするシーンもなく、それぞれの気持ちに任せよう、という感じが良かったです。お互いの趣味が一緒で楽しそうなの良かったです。

物語の構成が面白いと思いました。三組の人間と獣人のカップルが登場するのですが、短編の三組のカップルの話が『学校の噂の真実』に絡み合い、一つのの物語になっていて、面白かったです。

人間と獣人の３カップルの話が、まず３話あります。それぞれ余韻を残す感じで終えて、その後、それぞれが関わりを持つ様子の短編が入って、物語が完成します。なかなか面白い作品構成だと思いました。どのカップルも、それぞれ１冊の作品になってもおかしくない位に魅力的で、読み応えがありました。

良かったんですけど、うーん物足りない。表題作の2人とスピンオフみたいに、この2人を取り巻く周りのカップルの話も入ってるんだけど、これ一冊ずつに分けて出しても良かったんじゃないかなって思うほど駆け足の印象です。朝丘さんの丁寧な文章や表現、心理描写が好きで追っかけてるんですけど、今回はあっさりっていうか物足りなかったです。

ジンワリ来ます。高校生と教師。高校生が一目惚れでつきまとう、かと思えば、最後に、実は先生から一目惚れしていた、なんて素敵な落ちがあったり。中々甘い展開でした。ファンタジー入っていますが、それほどではありません。そこがまた読みやすかったのかな。