レビュー一覧

杉原先生の作品に共通する「キラキラした透明感」や「静かな中に秘められた熱い想い」、「相手のためなら自分の想いや自分自身を犠牲にできる愛」というようなところが本当に好きです。主人公が大切な人との死別などの悲しみから立ち直って、好きな人からの惜しみない深い愛によって、再び強く生きるまでの過程が本当に丁寧に、静かに描かれています。そうした世界観が本当に私の感性にぴったりとはまるようで、特に好きな作品は、もう何度も何度も読み返し、書籍でも購入しています。こちらは、それらに比べるとやや深みや奥行きが足りませんが、それでも、何度か読み返すうちにやはり大好きになりました。杉原先生の作品にドロドロした人間関係は求めていません。透明感のある繊細さの中に、愛によってもたらされる強さ、そうしたものが基本にあって、物語が紡がれています。基本的に文学的で静かな世界観が好きな方には合うと思います。私は杉原先生の作品が大好きなので、他の好きな作品に比べるとちょっと評価は下がりますが、それでも星５です。

全寮制男子校、同室の王子な先輩×綺麗な後輩。ありがちですがおいしい設定。それなりに楽しく読みましたが、読後感はあっさり。主人公は過去のトラウマ持ち、先輩はつらい家庭環境、主人公に愛憎絡んだ感情を寄せるぼっち同級生、とお約束の色々はあるものの、全体的にそう大した問題も起こらず、先輩とは最初から最後まで相思相愛、よい友達に恵まれみんなに愛され、安心なお話です。気持ちがすれ違うとか、いじめられるとか暴行されるとか、裏切られるとか、そういうのは全くなくてぬるいと言えばぬるい。いい子ばかりで楽しそうな寮生活。某イギリス寄宿舎のお話みたいに痛いことは何もなく、キャンディーみたいな甘いお話です。眼鏡美人の副寮長と先輩が実は昔…みたいなのを期待したのですが、特に話に絡んで来なかったのが残念。

とても繊細でキラキラしている学生寮でのお話。その後の二人もみてみたいです。なんせ、学生寮では縛りがありすぎてがっつり愛しあえないから。その後どう生きていくかに興味が湧きました。

篠宮先輩が看板に偽り無しの超王子です。遥も健気でまっすぐな子で、応援したくなりました。他の寮生たちとのエピソードがうまく織り込まれていてすごくイメージが湧きました。

全寮制男子校…お話が男子寮というだけで、ちょっとドキドキとしてしまう、怪しい響き。同室になった王子様のような先輩×かわいい後輩。同室…甘い。それぞれが家庭に悩みやトラウマ持ちだったりしますが、周りの人たちにも支えられながら成長していきます。杉原先生の書く優しい登場人物、ゆっくり育む時間、学生という特別な時間…好きです。