時は明治。結婚もせず、学問の才に恵まれながらその有効活用にも消極的な辰之介に舞い込んだ養蚕研究の話。繭にも生糸にも興味はない。もとより断るつもりで話の出所だという星名家へ行ったが最後、星名家の美貌の子息・良太郎に鮮やかに謀られ、心ならずも研究を引き受けることに……だが、何かに一筋に生き、その男にしては整った顔かたちのせいだけではない美しい輝きを放つ良太郎に、辰之介はいつしか心惹かれ……
養蚕の発展を願う青年たちの熱情の日々と、その中でゆるりと紡がれる愛。
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