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友蔵は、峠までの塩運びを生業にしている。馬のくろと一緒に塩を運ぶ。そんなある日、峠で旅人に出会う。ひとりは女衒の男で、もうひとりは少女であった。少女は足に肉刺を作りもう歩けないという。そこで、友蔵の荷車に乗せてやることにする。娘はこれから江戸に出て、廓に売られるのだという。友蔵は娘を不憫に思いながら、峠道を進んでいく。途中で、友蔵たちは追い剥ぎに遭う。追い剥ぎは荷車に積んでいる反物を渡せと言う。そのとき黙っていた女衒の男が刀を抜いて追い剥ぎに立ち向かう……
藩の郷方役人杉浦彦兵衛は、関場村の肝煎孫右衛門から相談を持ちかけられる。村はずれの空き家に勝手に誰かが住み着いたというのである。夜になると灯りがともり、不気味だから、彦兵衛に調べてくれるように頼むのであった。彦兵衛は剣の達人であったから、二つ返事でそれを引き受ける。夜になって、空き家に向かう彦兵衛は、いざというときのために刀を抜けるようにしていた。空き家に着いてみると、確かに誰かいる。彦兵衛が家の庭に入っていくと、縁側にひとりの若い娘が座っていた……
戊辰戦争が起こり、奥州磐城平藩は佐幕藩として新政府軍を相手に戦う。遠藤ちかの夫鉄三郎は磐城平藩士で出陣する。戦は磐城平藩に不利で、各地で敗退してしまう。ちかは身重で産み月を迎えていた。戦の最中、出産するのだが、子供は死産してしまう。同時に鉄三郎は討ち死にし、磐城平藩は降伏する。落胆しているちかのもとに、加納屋夫婦が現れる。加納屋の娘が赤子を産んだ後亡くなり、もらい乳のできる人を探しているという。加納屋夫婦は自分たちの孫の倫太郎に、ちかの乳を分けてやってはくれまいか、と頼み込む。ちかは倫太郎に乳を与え、倫太郎はすくすくと育つのだが……