国民的大ヒット漫画『ミリオンジョー』。その作者・真加田恒夫が連載中に急死してしまう。担当編集者の呉井は続きを楽しみに待つ読者のため、真加田の死を隠蔽し、自らが続きを描くことを決意する―、という解りやすいあらすじ。このあらすじだけなら「読者のために」という美談的要素もあるかなーと思いつつも、そこには当然ながら死体隠蔽、財産の横領など様々な黒い要素が含まれるわけです。

　作者・真加田が極端な人嫌いで人前に出てくることはなかったとはいえ本人不在の状況を隠し続けるのは当然容易なことではありません。そんな状況をどうやりくりしていくのかが見物ですよね。しかしこのマンガの主人公である編集者呉井とその協力者たち全てがそんな犯罪に手を染めるには頼りない・裏切りそう・怪しいの三拍子そろったようなギリギリなメンバーなのです。そんないかにもダメそうなところがこのマンガのリアリティというか魅力なのでしょう。そしてその頼りなさを引き立てるような絵柄も個人的にとても好きです。

　犯罪に手を染めているとはいえ、国民的漫画『ミリオンジョー』を終わらせたくないという呉井の熱い思いはストレートに伝わってきてとても憎めない存在なのです。このマンガを読んでいて作品の在り方について作者・読者・編集者の視点から考えさせられるところもありました。正解は無いのだと思いますが自分の大好きな漫画が突然未完で終わってしまったら…、騙されてでも続きを読みたいと思うのかなぁ。潔く未完で終わってほしいのかなぁ。関係ないけどベル○ルクとバ○タードとハン○ー×ハン○ーの続きがよみたいなぁ…ブツブツ。
　（編集：宮崎｜作成日：2016/2/19 ）